ベテラン営業担当のノウハウをITで伝承する構造改革としての2007年問題(2/3 ページ)

» 2006年01月31日 18時04分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

コンテンツに落とし込む

 コンテンツマネジメントは、ベテラン社員の経験やノウハウをコンテンツ(情報の中身)として定量化して蓄積、共有するという取り組み。終身雇用制度が定着している日本の企業では米国ほど普及はしていなかったが、この2007年問題を契機に注目を集めるようになってきた。最初からナレッジと身構えると難しいが、コンテンツという枠組みなら把握できそうな気がする。

 すでにこの取り組みを進めている企業もある。東北のある地方銀行は、プロセス指向ツールセットを基盤に、ベテラン行員のノウハウ、ナレッジをモデル化、全行員が共有できるポータルを作り上げた。

 多くの銀行では、業務手順ごとに必要な事務取扱手続集やマニュアル、また顧客対応に必要な様式や帳票の書き方などを整備している。しかし、そうしたマニュアルでサポートできるものはあくまでも仕事のやり方であり、それを自分なりの手順に落とし込んでいく作業が必要となる。マニュアルを見れば、誰でもベテラン行員のようになれるわけではない。

 そこでこの銀行では、業務プロセスを可視化するためのツールを使い、フロー化した業務プロセスモデルを、同行の事務取扱手続集やマニュアル、様式などとリンクさせ、全行員で共有できるシステムを構築した。

 システム構築に当たっては、ベテラン行員の仕事のやり方、工夫、知恵といったものをヒアリングし、そこから仕事の手順を引き出していった。さらに、それに対応するために最適なプロセスを加え、手順ごとに必要な事務取扱手続集やマニュアル、顧客対応に必要な様式、帳票の書き方などを、1つ1つ盛り込んでいった。これで、新人でもベテラン行員と同じように仕事ができるようになったという。

 事務職の経験やノウハウは、どうしても個人に埋没する傾向があるが、この銀行のように、伝承しようという取り組みをスタートさせている企業もある。

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