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» 2006年02月07日 09時00分 公開

エンタープライズコンテンツ管理のすすめ:コンテンツ管理ソフトが解決する7つの悩み (2/2)

[上村陽子,ITmedia]
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Webサイト更新の効率化

 2000年代に入ってからは、Webの浸透に伴いWebコンテンツの管理プロセス改善にコンテンツ管理製品を導入する事例が増加している。Webサイト作成においては、Webコンテンツ作成プロセスの簡素化が求められている。コンテンツの中身を所有するビジネスユーザーとページデザイナーとの作業の分離、バージョン管理などによる作業ミスの回避、ワークフロー機能を利用した承認プロセスの迅速化など、Webサイトを構成するための運用プロセスの煩雑さと負荷を軽減するために、コンテンツ管理製品を利用するケースが増えている。

 また、社内の情報共有を目的に、これまで乱立していた社内イントラサイトを一元的に管理する事例も見られる。コンテンツ管理市場において、WCM(Webコンテンツ管理)は、1つの独立した市場として成長を続けており、製品数も多い。

デジタル資産の管理

 画像、ビデオ、サウンド情報の増加に伴い、これらのデジタル資産を管理する「DAM(Digital Asset Management)」の導入事例もある。例えば、放送業界では、特定のニュースに関連する過去の映像や画像を見つけるために膨大な時間を費やしており、このプロセスを簡素化するために過去の情報資産のデジタル化を進めている。放送・映像業界のほか、画像データなどを大量に所有する組織では、デジタル資産とそのメタ情報を管理するシステムが今後採用されていくと考えられる。

情報漏えい対策

 最近では情報漏えい対策を念頭に入れたニーズが急激に増えている。コンテンツ管理の範囲に含まれる、次のような内容の問い合わせがよくある。

 「弊社のXXX部門で取り扱う情報は機密度が非常に高いので、情報が誤って流出しないようシステム的に制御しつつ、情報の管理を行いたいと考えています。フォルダ/ファイル単位でのアクセス制御、印刷・ダウンロード・テキストコピーなどを禁止できる文書管理ツールを教えてください」

 2005年の個人情報保護法の施行は情報漏えい対策を加速させたが、個人情報に関するファイル以外でも、各種業務データ(製造現場の電子情報、業務マニュアルなど)のセキュリティレベルを向上させようという意識が高まっている。このようなニーズに対しても、コンテンツ管理製品が利用されている。ただし、コンテンツ管理製品はユーザーごとのアクセス制御を基本機能として提供しているが、印刷制御やコピーの禁止などデスクトップでの操作制御機能は弱く、セキュリティベンダーの専用製品が併用されることが多い。

監査証跡

 情報漏えいの防止と並んでセキュリティ対策で重要なのが、文書のアクセスログの保存である。情報の漏えい/改ざんが万一起こったとき、どこから情報が漏れたのか、誰がアクセスしたのかを後追いできる仕組みが、コンプライアンス対応として求められている。これはコンテンツ管理ツールの得意とする領域であり、「文書の作成」「改定」「承認」「廃棄」といった各種アクションのログが自動的に記録される仕組みが提供されている。コンテンツ管理ベンダーがSOX法対応ソリューションを標榜しているのは、こうした機能を備えているからである。

多岐にわたるニーズを企業規模で解決するECM

 このようにコンテンツ管理へのニーズは多岐にわたるが、これらに対応できる製品/ソリューションは、すでにさまざまなベンダーから提供されている。製品技術は日々進化しており、個別のニーズにフォーカスした製品、複数のニーズに対応する製品、複数の製品を組み合わせた製品も存在する。また、アクセス制御といった個々の機能においても、ユーザーごとにアクセスの可否を設定する製品もあれば、グループごとフォルダごとなど、複数のくくりで何段階もの細かなアクセス制御を可能にする製品もある。こうした、製品ごとのカバー範囲の違い、提供機能のレベルの違いが、コンテンツ管理市場を複雑にしている。ただ、企業側のニーズと対象範囲を明らかにしておけば、製品選定の目が養われていくだろう。

 ニーズに合った製品を導入することによって、「業務部門のマニュアル管理のセキュリティレベルが向上した」「Webコンテンツの更新サイクルが短縮した」「設計書の管理によって開発プロセスが効率的に進むようになった」などのメリットがもたらされることは間違いない。しかし、ここに1つ問題がある。上記で紹介している取り組みが、特定の業務領域における重要なコンテンツに対してのみの閉じた範囲での改善策になってしまう点である。

 ユーザーから見れば、業務マニュアルにアクセスしたければ業務部門が持つ文書管理サーバへ、設計書にアクセスしたければ設計部門のサーバへアクセスしなければならない。また、特定の文書管理サーバに保存されたコンテンツに関してはセキュリティレベルが高まったとしても、管理対象外のファイルサーバや個人のPCに残されたファイルは、依然として放置されたままとなる。

 このような状況に対して、企業内のあらゆるコンテンツを管理しようとするのが「エンタープライズコンテンツ管理」(ECM)のコンセプトである。次回は、ECM市場の現状と、今後企業が進むべき方向性について考えてみたい。

上村陽子


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