データベースサーバの新勢力となるか? MIRACLE LINUX搭載無停止型サーバ

ミラクル・リナックスと日本ストラタステクノロジーは、「MIRACLE LINUX V4.0 Asianux Inside」をStratusの無停止型サーバ「ftServer」に搭載した「ftServer M30」を発表した。

» 2006年02月07日 14時07分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ミラクル・リナックスと日本ストラタステクノロジーは2月7日、ミラクル・リナックスの「MIRACLE LINUX V4.0 Asianux Inside」をStratusの無停止型サーバ「ftServer」に搭載した「ftServer M30」を2月13日より発売すると発表した。両社は2005年5月に戦略提携を発表しており(関連記事参照)、2005年秋ごろであった当初の予定から少し遅れて今回の発表となった。

 発表会に出席した日本ストラタステクノロジー代表取締役社長の長井正利氏は、「Red Hatのように(Linuxディストリビューションの)デファクトになってしまうと小回りが効かない。データベースサーバの市場において、私たちはMIRACLE LINUXとタイムリーに顧客の問題を解決するための補強策を提供していく」と述べた。無停止型サーバの市場において今後Linuxを搭載したもののシェアが10%程度向上し、全体の14%程度にまで達すると予想されることから、それを見据えたものであることが伺える。

 ftServerは、CPU、メモリ、HDD、PCI、イーサネットといったハードウェアを2重化し、障害時には片側のコンポーネントを自動で切り離すことでシステムダウンやデータの損失を回避する無停止型のサーバ。ハードウェアレベルで無停止を実現しているため、クラスタ構成のような特別なミドルウェアを必要としないほか、フェイルオーバーのように切り替えのためサービスが停止するようなこともない。加えて、システムの状態は24時間対応可能なサポートセンターで自動モニタリングされるほか、障害が発生したコンポーネントもシステムを稼動させたまま交換できるため、システムに高い冗長性が求められる業界から注目されている。

ftServer M30 発表会ではCPUエンクロージャを故意に外しても停止しないデモが行われた

 今回発表されたftServer M30はCPUにXeon 3.06GHzを2個搭載し、内蔵するSCSI HDDのスロットは6個用意されている。メモリは最大6Gバイト搭載可能。サイズは4Uだが、この内訳は、CPUおよびメモリが搭載されるCPUエンクロージャとI/O関連のハードウェアが搭載されたI/Oエンクロージャの2つ(それぞれ1Uサイズ)が冗長構成で2セット用意されるため、4Uとなる。

 製品名につけられているMは「MIRACLE LINUX」を意味する。同製品が狙うターゲット市場は、MIRACLE LINUXとOracleの相性の良さを生かしたデータベースサーバの市場。それに加え、信頼性および強固な保守体制が求められるテレコムの市場であるという。特にテレコムには、MIRACLE LINUXがCGL(Carrier Grade Linux) 2.0.2の認証を取得していることもアピールポイントになるという。

 同製品に搭載されるMIRACLE LINUXには、メモリミラーリングなど二重化に関する部分や、SCSI周りのデバイスドライバの強化、システムモニタリングを行うソフトウェア群「ftSSS 3.0 for Linux OS」が組み込まれる。しかし、オリジナルのMIRACLE LINUXとのバイナリ互換は完全に保っており、MIRACLE LINUXのユーザーであれば、そのまま移行できるという。

 同製品は米国本社以外で初の製品開発となり、「より日本に適した製品、ビジネスモデルの展開が可能になる」(長井氏)としている。また、同製品はOEMによる他社への提供予定もないという。

 販売形態は日本ストラタステクノロジーが販売パートナーを通じて行う。また、両社が重要なポイントと考えるサポート体制については、その問題がハードウェア、ソフトウェアのいずれの場合も日本ストラタスが窓口として受け、そのバックエンドでミラクル・リナックスやStratusがサポートする形態を取る。

 価格は504万2400円から。この価格はOSを含むが、メモリやHDDは別途購入する必要がある。両社は今回の発売に合わせて期間限定のキャンペーン価格を用意しており、2006年4月28日までの受注については、上記価格が229万8000円となる。

 そのほか、今後の予定として、4ウェイ構成の「ftServer M60」のほか、24時間365日保守を含むOracleバンドルパッケージ商品の開発が予定されていることも明らかにされた。また、MIRACLE LINUXがAsianux 2.0ベースであることから、いずれは中国・韓国でのビジネス展開も考えているという。

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