2006年Microsoftが抱える課題トップ10(3/3 ページ)

» 2006年02月15日 00時00分 公開
[Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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7. 管理プラットフォームの具体的ビジョンを示せ

 Microsoftはソフトウェアを管理するソフトウェア、すなわちシステム管理プラットフォームに関して、非常に明快なビジョンを持っている。Dynamic Systems Initiative(DSI)はクリティカルなシステムの可用性を大幅に向上させるとともに、効率性を維持管理するために開発されたソフトウェアの新しい標準を確立するだろう。DSIはおそらくMicrosoftの最も競争力のある資産の1つだ。他のいかなるベンダーも、またオープンソースコミュニティーも、このような統一された体系の下で連携できる広範なソフトウェアを提供していない。ところが、DSIのクリティカルな構成要素は、実はベーパーウェア(構想段階のソフトウェア)にすぎないことだ。Microsoftは2006年、将来の管理製品がベースとするであろうSystems Definition Modelなどのコンポーネントをドキュメント化し、管理プラットフォームビジョンを具体化する必要がある。」

 「Microsoftは懐疑的なISVや企業開発者に対して、DSIが順調に進展していることを具体的に示すべきだ」──Peter Pawlak、サーバおよびシステム管理主任アナリスト

8. 明確なロードマップのリエンジニアリング

 消費者やパートナー各社は、トレーニングや導入計画、あるいはMicrosoftの収益の大きな柱であるソフトウェアの複数年保守契約の判断などで、リリースロードマップを必要としている。ソフトウェア開発者は、Microsoft製品に対応する自社製品の開発計画にロードマップを必要としている。そして投資家たちは、Microsoftの今後の収益性を検討するためにロードマップを必要としている。しかし、これらのグループはしばしば、Microsoftがいつどのような製品をリリースするのか確かな情報を持たないまま、重大な判断を下さなければならない。たとえ解決できるとしても、この問題を解決するには数年を要するだろう。ただし、Microsoftは2006年、さまざまポリシーを明確にする考えだ。例えば、同社は上級副社長のBob Muglia氏がWindows Serverに関して宣言したように、WindowsクライアントOSも今後はメジャーとマイナー(R2)を交互に繰り返しながらリリースするかどうかを明確に示すかもしれない。

 「顧客たち、Microsoftが次期リリースをいつ出荷するか、確かな知識を持たずに重大なビジネス判断を下さなければならない。そしてその判断に失敗すれば、莫大な経済的損失とともに大きなリスクを抱え込むことになる。2006年は、こうした状況を打開するリリース方針がMicrosoftから示されることを期待したい」──Michael Cherry、Windows主任アナリスト

9. Xbox 360のファイナルデスマッチで決着を

 Microsoftのエグゼクティブたちは、Xboxビジネスを今年7月からスタートする2007会計年度に黒字化すると約束した。そのための環境は整っている。Microsoftは魅力的なハードウェアを投入し、ソニーや任天堂との市場競争に勝ち、多くのサードパーティや開発者を呼び込むことに成功した(特に日本での成功は重要だ)。また、競合他社がオンライン戦略で足踏みするなか、Xbox Liveは200万人以上の有料ユーザーを獲得した。最も重要な点は、Microsoftがライフサイクル全般を通してコンソールの採算を取る方針を打ち出し、ゲーム、Liveサブスクリプション、ハードウェア周辺機器、そしてダウンロードから利益を生み出す余地を大きく残したことだ。Microsoftは2006年、コンソールが高価格であることを正当化(あるいはソニーにプレッシャーを与えるために低価格化)すると同時に、発表時には間に合わなかった“定番”ゲームタイトルを投入し、初期の在庫不足や動作不良が一時的な問題に過ぎなかったこと証明する必要がある。

 「Xboxの黒字化には、ソニーの追撃を退ける一方で、ビッグネームのソフトウェア投入が不可欠だ。そのいずれもが赤字脱却の課題となるだろう」──Matt Rosoff、コンシューマーおよびコーポレート主任アナリスト

10. ライセンシングビジネスに真の価値を

 過去何年にもわたって指摘されてきたライセンシングの課題が、2005年は大きく進展した。ドキュメンテーションの改善、ソフトウェア保守契約の改善、製品使用権、価格体系、その他の製品データのWeb対応。しかし、それでも幾つかの問題は残されている。特に、SA(Software Assurance)保守契約と実際の製品リリースサイクルの非連続性は、早急に改善されなければならない。

 「保守とサービスによる収益は、Microsoftにとって今後重要な柱になる。しかし、現行の価格体系やサブスクリプションモデルのままでは、いずれ限界が見えてくるだろう」──Paul DeGroot、セールスおよびサービス主任アナリスト

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