顧客満足を利益へ、「変換装置」としてのCCコンタクトセンターが企業の顔になる(2/3 ページ)

» 2006年02月20日 08時45分 公開
[上村陽子,ITmedia]

顧客情報の統合

 前述の電話とWebの例のように、顧客対応を複数のチャネルで展開することは、もはや企業にとって珍しいことではない。とはいうものの、コールセンター、電子メール対応、Web対応、モバイルインターネットと、徐々に顧客接点を増やしてきたケースでは、従来から利用している顧客データベースと新規システムの顧客対応履歴を統合できずに苦労していることが多い。

 顧客情報の統合への取り組みは、コンタクトセンターの進化の過程において、非常に重要な意味を持つ。

 顧客情報がバラバラに管理されていても、それぞれの顧客接点である程度のサービスを提供することは可能ではあるが、より満足度の高い経験を顧客に提供したいと考えるならば、顧客をより深く知ることが不可欠になってくる。顧客が、いつどんなふうに企業と関係を持ったのかを参照でき、あらゆるチャネルで一貫性のある対応ができることが望ましいのである。

 例えば、メールの問い合わせを何度も繰り返し、その対応に不満を持って電話を掛けてきた顧客がいたとしよう。電話を受けたオペレーターが、顧客にこれまでのいきさつの1つ1つを質問して確認するのではなく、その場で過去のメールのやり取りを見て適切な対処が取れれば、顧客の不満を取り除くこともできるかもしれない。

 理想としては、すべてのチャネルからのメッセージが1つのキューに集められた上で、それぞれが適切な担当者へと振り分けられ、一方で、対応履歴は一元管理されているような環境を提供できれば申し分ない。だが、たとえ電話と電子メールを別々に処理しているような場合でも、顧客情報を統合し、それぞれのコンタクト履歴が同じ場所から参照できる仕組みになっているような仕組みは、最低限の機能として求められる。

コンタクトセンターの構成要素と必要な連携(出典:ITR)

 コンタクトセンターを支えるテクノロジーに目を向けてみると、現在、「IP化」への転換期にある。音声通信に安価なIPネットワークを利用できることや、各拠点に配置していた設備を一元管理できることなどが、IP化の第一のメリットとされている。このタイミングで柔軟性の高いシステムを構築していくことが、企業がコンタクトセンターの進化に対応し、ビジネスを成功させる上で不可欠になるだろう。

バーチャルコンタクトセンターが現実に

 その一例として挙げられるのが、「バーチャルコンタクトセンター化」である。IP化により、分散型オペレーションの管理を一元化できたり、ネットワークにアクセスできるところならどこにでも電子メールを配置することが可能になったりすることで、電子メールは自宅に居ながらにして、コンタクトセンターに掛かってきた電話に対応できるようになる。

 離職率が高いといわれるコンタクトセンターにとっては、優秀なオペレーターが子育てや転居などでやむなく離職するよりも、在宅勤務の形でも続けてくれた方が生産性の低下を抑えられる。何よりも、在宅オペレーターの資質を持つ人材を採用し、育てるためには、教育プログラムを確立する必要があるなど、かなりの労力が求められる。

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