経営者とベンダーの本音のぶつかり合いは、CC業界に限ったことでも、現代に限ったことでもない。ただし、そういう「暗闘」にこだわっていると、肝心の顧客を見失ってしまうことが心配になる。
このシリーズの冒頭で、僕が、辺境の佐渡で通販サービスの恩恵を受けている話をした。相手はカタログ通販会社だったり、本屋だったり、PCメーカーだったりとさまざまで、やり取りの仕方もたくさんある。
PCのユーザーIDを調べずにCCに問い合わせをした結果、時間が掛かってオペレーターに迷惑を掛けたこともあるが、こうしたやり取りも含めて、CCによってわれわれが安心して取引ができることは紛れもない事実である。僕の間抜けな質問や筋違いのクレームにもちゃんと対応してもらえることが、やはりうれしい。「同じ買うならCCの対応が良かったところから」と思うし、Webサイト中をグルグル探し回っても回答がなく、問い合わせ窓口も見つからないような企業の商品は「もう御免だ」と、僕だけでなく、世界中のユーザーが感じるはずだ。
経営者がこれからもビジネスを成功に導くためには、ユーザーのニーズや感情を熟知したスタッフで構成されるCCを確保することが不可欠である。一方で、CCの関連ベンダーには、顧客から指名を受けた上で「お世話係」を買って出てほしいくらいだ。
今後CCは、単なるサポートセンターではなくなる。かといって営業最前線化すべしというのも極端だと思う。これからのCCは、経営情報を公表する窓口であり、顧客にとっての相談係であり、最新情報の発信源であり、ユーザー間の取り持ち役にもなることもあるだろう。CCの本当の意味での進化は、こうした新しい役割や期待に応える機能を持つことだ。それがビジネスの進化を促し、さらにはシステムや運営ノウハウの発想転換にもつながってくるように思える。
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