調査は、Enterprise Management Associates(EMA)によって2005年10月から11月にかけて実施されたもので、一次調査では、無作為に抽出したIT企業数千社に対して電話アンケートを、さらに、Web経由で100社以上から自主的に回答を得たという。また、大規模なLinuxおよび異種混合の環境を導入している一部企業のCIO(最高情報責任者)およびMIS(経営情報システム)マネージャー13名に対して詳細なインタビューも実施しているという。
「透明性もなく、限定された状況下での結果となるテストラボでの調査ではなく、200社以上の企業を対象に実地調査を行った。また、調査対象となった企業のうち、弊社の顧客は5社以下で、さらに弊社のカバーしていないセキュリティなどの管理領域のトピックを含むなど、ベンダーニュートラルな調査にすべく配慮した」(デニス氏)
調査対象も、小規模なデータセンター規模(サーバ数20台以下)から、Fortune1000に名を連ねるようなクラス(サーバ数1000台以上)まで広範囲に渡って行われ、金融、製造、流通、教育、サービスプロバイダー、メディア、通信など20以上の業種を網羅しているという。
「実際の結果を見てみると、回答者の大半はSMBに含まれるユーザーだった。これは意図したものではないが、『Get the Facts』が対象としていた領域を考えると注目すべき結果」(デニス氏)
2006年2月13日に公開された調査報告書「Get the Truth on Linux Management」では、上述の調査に基づいた新たな分析結果が17ページに渡って報告されている。その中で主要な内容は以下のとおりだ。
特に管理とサポートの部分では「Get the Facts」で述べられていた事実とは大きく異なる結果となったことに触れ、Microsoftが「Get the Facts」で示した内容は、かつてそうであったかもしれないが今はそうではなく、総合的なTCOを考えれば、Linuxにおける管理に問題があると考える必要はないとデニス氏は話す。
一方、今回の調査結果を踏まえてなお、WindowsがLinuxと比較して有利な部分はどこかという記者の質問にデニス氏は、「ストレージのマネジメント」を挙げている。
報告書では、「多くの場合Linuxは、Windowsに比べて、導入・管理コストを大幅に削減できるプラットフォームである」と締めくくられている。「Get the Facts」に真正面から異議を唱えるこの報告書だが、それをどこまで信じるべきだろうか。ここで触れられているサーバがどういったサーバ、つまり、ファイルサーバなのかメールサーバなのか、基幹システムにおけるサーバなのかといった情報の記載がないなど、詳細についてはこの報告書では触れられていない。
また、LevantaはLinuxのビジネス利用を推進するOSDLのメンバー企業であることを考えれば、これがLinux側に都合のよい報告書になっている可能性もある。そもそも今回の調査費用はLevantaだけでなくOSDLも負担しており、この点でも本質的にはMicrosoftが「Get the Facts」を推進するに当たって取った手法と何ら変わりはない。
「これまでは『Get the Facts』が市場にはほぼ独占の形で露出していたが、それではプロパガンダに過ぎない。私は、ある質問に対して最良の解にたどり着くには最低でも2つの道が必要であると考える。そのもう一つが『Get the Truth on Linux Management』なのだ」(デニス氏)
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