ブランチオフィス向けに強化したISA Server SP2の実力(2/2 ページ)

» 2006年03月01日 00時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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Differentiated Servicesのサポート
 ISA Server 2004 SP2をインストールすると、HTTPトラフィックが通過する際に、社内のルーターが特定のURLやドメインからのトラフィックを優先的に処理できるようになる。ISA Server 2004 SP2では、Differentiated Services(DiffServ)と呼ばれるプロトコルを使用してすべてのHTTPトラフィックをスキャンし、構成されている条件に合うIPパケットにフラグが付けられる。このフラグを基に、QoS(Quality of Service)機能に対応しているダウンストリームルーターで、これらのパケットが優先して処理されるようにする。これは例えば、リモートオフィスのブラウザユーザーが、本社の基幹アプリケーションを実行するWebサーバにアクセスする必要がある場合は、特に有用だ。この場合、基幹アプリケーションへのトラフィックを他のトラフィックよりも優先させることができる。この機能はサイトへの接続にプライベートWANを導入している企業であれば有効性が期待できるが、優先したいトラフィックが仮想プライベートネットワーク(VPN)を利用してインターネット上を通過する場合は、搬送経路上にあるインターネットプロバイダのルーターでは他のトラフィックと同等に処理されることに注意が必要だ。

ISA Server 2004 SP2のキャッシュ機能強化

 SP2では、ISA Server 2004のクライアント自動検出、Web認証セキュリティ、証明書についての警告メッセージ生成、デバッグトレースの各機能にも多少の機能強化が施されている。最大の変更点は、Cache Array Routing Protocol(CARP)プロトコルの動作が変更されたことだ。

CARPの機能強化
 ISA Server 2004のEnterprise Edition固有の機能の1つとして、キャッシュアレイのサポートがある。キャッシュアレイは、複数のキャッシュサーバを組み合わせて、1つの大規模な仮想キャッシュとして利用する技術だ。ISA ServerはCARPを使用して、キャッシュしたURLグループを各アレイメンバーに均等に割り当てる。各ISA Serverコンピュータがキャッシュするのは、それぞれに割り当てられたURLグループのデータのみだが、CARPアレイを構成するメンバーマシンの1台がオフラインになった場合、それ以外のメンバーに動的に負荷を割り当て直すことができる。ただし再割り当てが発生した場合、要求されたURLを基に個々のキャッシュサーバを特定する方法では、各Webサーバのセッション状態情報を保持するWebページやWebアプリケーションにとって問題になる可能性がある。

 SP2では、CARPのルーティングにホスト名のみが使用されるようになる。つまり、完全なURLではなく、ホスト名を使用してどのアレイメンバーが要求を処理するかが決定されるのだ。したがって、ある特定のホスト(例えばwww.directionsonmicrosoft.com)に対する後続の要求をすべて、特定のアレイメンバーに割り当てることができる。この方法であれば、各セッションが、セッション状態情報を保持している特定の1アレイメンバーにより処理されるようになる。ただし、SP2のCARP機能は例外リストメカニズムも備えており、このメカニズムを使用すると、例外リストに追加したサイトのトラフィックをすべてのアレイメンバーに分散することができる。これは、あるサイトにより生成されるトラフィックが1台のアレイメンバーでは処理できないほど多く、複数のアレイメンバーを使ってデータをキャッシュすれば問題ないことが確かである場合に有用だ。

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