MS初のセキュリティサービス「Windows OneCare Live」の詳細が明らかに(1/2 ページ)

Windows OneCare Liveの2番目となるβの公開予定および予定価格が発表された。正式リリースは6月になる見込み。競合サービスと比較してサブスクリプションの更新をいかに効果的にユーザーに訴求できるかが課題になる。

» 2006年03月09日 07時00分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoft初のセキュリティおよびPC状態監視サブスクリプションサービスであるWindows OneCare Liveの新しいβ版が2006年3月にリリースされる予定だ。正式版のリリースは6月になる見込みで、年間約50ドルで提供され、1サブスクリプションで最高3台のコンピュータにインストールできる。ただし、初期リリースは全ユーティリティの統合が完了していない状態でのリリースになる模様だ。また、製品を最新の状態に保つには1年ごとに有料のアップデートが必要だが、パートナー企業が提供する競合製品以上に、OneCareが高いアップデート率を実現できるという保証はない。

Windows OneCare Liveの基本構成

 Windows OneCare Liveは、Windowsのセキュリティとパフォーマンスの強化を目的とした製品である。悪意のあるソフトウェア(マルウェア)の検出と削除を行い、自動的に定期的なクリーンアップ処理を行うことで、常にWindowsが最適な状態で実行されるようにする。同製品の機能は、以下のようにProtection PlusとPerformance Plusの2つのカテゴリに分類される。

Protection Plus
 マルウェアに対する次のような保護機能を提供する。

  • ウイルス、ワーム、トロイの木馬を検出および削除するウイルススキャンエンジン。
  • 受信および送信ネットワークトラフィックを監視するファイアウォール。
  • 既存のMicrosoft Updateサービスとの連携。WindowsやOfficeなどのMicrosoftアプリケーション製品に適切に修正プログラムが適用されるようにする。
  • OneCareの自動アップデート。新種や亜種のマルウェアを検出するための情報の取得やOneCare自体のアップデートを行う。
  • リムーバブルメディアや外付けハードドライブへのファイルのバックアップの支援。

 また、OneCareの初期バージョンでは、Microsoftの無償のアンチスパイウェア製品であるWindows Defenderによるスパイウェア検出機能も提供される予定だが、DefenderとOneCareの完全な統合は今後のOneCareのリリースを待つ必要がある。OneCareの初期リリースでは、OneCareのセットアップ中にDefenderをダウンロードし、インストールすることになる見込みだ。

Performance Plus
 Windowsの信頼性およびパフォーマンスを改善するための次の機能を提供する。

  • 一時ファイルが不要になった時点での自動的な削除。
  • 同じファイルのデータがハードドライブの連続セクタに保存されるようにする"デフラグ"機能。パフォーマンスの向上を図る。
  • システムのブートや起動時間の監視。能動的にWindowsの読み込み時の問題を検出する。

 これらのサービスの多くは既にWindowsに組み込まれているが、特に初級レベルのユーザーにとって、このようなサービスを利用しやすくすることがOneCareの目標となる。

OneCareとWindows搭載ユーティリティの比較

機能 現在のWindowsでの対応機能 OneCare使用のメリット
ウイルスの検出および除去 なし これまでMicrosoftが提供していなかった機能。ただし、同社は既知のマルウェアを削除する毎月更新されるツールを提供している。
スパイウェアの検出および除去 なし 無償で提供されるWindows Defenderを別途インストールすることで実現。OneCareの今後のリリースで統合が完成する予定。
ブート時の監視 なし Windowsの起動時の問題を監視し、能動的に修正処理を行えるようにする新サービス。
ファイアウォール あり 現在のWindowsファイアウォールの監視対象は、受信トラフィックのみである。OneCareのファイアウォールは、受信トラフィックと送信トラフィックの両方を監視する。
Microsoft Update あり OneCareでは、状態監視機能と連携。
バックアップおよびリストア あり Windowsで現在提供されているが、多くのユーザーにとって起動方法がわかりづらく、使いにくい。Windows XP Homeでは、既定でインストールされない。
ハードディスクのクリーンアップ あり Windowsで現在提供されているが、多くのユーザーにとって起動方法がわかりづらく、使いにくい。
デフラグ あり Windowsで現在提供されているが、多くのユーザーにとって起動方法がわかりづらく、使いにくい。
 Windows OneCare Liveの機能の幾つかは現在Windowsで提供されているが、Windowsのユーティリティの使用にあたっては、その起動方法と実行のタイミングをユーザーが理解している必要がある。この表は、Windowsのユーティリティに代わり、OneCareを利用することで得られるメリットの一部を示している。
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