一方、Sunは2005年6月に、RollerプロジェクトをApache Software Foundationのインキュベータプログラムに組み入れた。ジョンソン氏によれば、「開発コミュニティーに関して言えば、Rollerは非常に活発なプロジェクトである。IBMからも大規模な支援を受けている」という。IBMは同プロジェクトに、タグコードを提供している。
しかしRollerは、Apacheインキュベータプログラムの中では「多少の問題」を引き起こしているとジョンソン氏は述べている。1つの問題は、Rollerのコンポーネントの一部がGNUのLGPL(Lesser General Public License)に準拠していることだという。
「Apacheでは100%Javaベースであることが求められているが、われわれはLGPLに基づく『Hibernate』を使用している。これが問題となっているのだ。いずれは、Hibernateを削除するか、個別にダウンロードするよう工夫しなければならないかもしれない。わたしとしては、今年中に(Apacheインキュベータプログラムから)抜けたいと思っている。もっとも、そうした事情とわれわれの発展には何の関係もない」(ジョンソン氏)
ジョンソン氏は、Java.netで「Blogapps」というプロジェクトにも携わっている。Blogappsは、同氏が近刊で紹介するコードサンプルとユーティリティのセットで、これらのサンプルと連携するブログおよびwikiサーバ機能も搭載している。
「Blogappsは、執筆中のわたしの著書で紹介しているサンプルのセットだ。人々にブログ技術を紹介することがその目的である」(ジョンソン氏)
Blogappsサーバには、Rollerブログサーバ、「JSPWiki」wikiサーバ、「Tomcat」Webアプリケーションサーバ、「HSQLDB」リレーショナルデータベースが含まれている。HSQLDBは、Javaで記述された小型のリレーショナルデータベースだ。
ジョンソン氏は、「いつかは(Apacheの)『Derby』へ移りたい」と、同オープンソースデータベースを視野に入れていることを明らかにした。
なお、Rollerブログソフトウェアは、エール大学でも使用されている。またノースカロライナ州立大学は、学内の学生用ブログの運用に同ソフトウェアを用いることを決めた。
オープンソースソフトウェアの王者とも言うべきジョンソン氏はかつて、「GRASS(Geographic Resources Analysis Support System) GIS(Geographic Information System)」の導入を支援するために、ジャマイカに1年半ほど滞在したことがあるそうだ。GRASS GISは、地理データの管理および分析、画像処理、グラフィックおよび地図作製、空間モデリング、視覚化などに用いられるソフトウェアである。
ジョンソン氏はそうした体験をこんな風に冗談めかして語った――「わたしはジャマイカに、グラス(grass:マリファナの異称)をやるためではなく、GRASSを持ち込むために行ったのだ」
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