第3の製品System Center Reporting Manager 2006の開発が大詰めに(3/3 ページ)

» 2006年03月16日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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初期バージョンで注意が必要な制限事項

 SCRM 2006は、SQL Server 2005 Reporting Servicesに向けられたMicrosoftの投資に大きな見返りをもたらす可能性を秘めているが、バージョン1らしい顕著な弱点もいくつか抱えている。

固定されたスキーマ
 SCRM 2006データウェアハウスのスキーマは固定されている。経験豊富なSQL開発者であればベースデータスキーマに手が届くかもしれないが、Microsoftはこのリリースで、MOMやSMSデータエレメントを追加したり、非Microsoft系のシステム管理やアカウンティング製品など、他のデータソースを追加したいと考える顧客やパートナーのサポートを行わない。同社は将来バージョンで拡張性を高める考えだが、その詳細もタイムフレームもまだ明らかにしていない。

制限されるデータ相関性
 いくつかのレポートは、キャプチャした管理データから問題の因果関係を特定するのに役立つが、この機能はきわめて原始的で、"推定原因"分析に使えるまでには至っておらず、ましてや問題の原因究明にはほとんど期待できない。推定原因分析は、Microsoftが将来の管理製品にDSIの一部として提供しようと考えている機能だ。この機能を利用すれば、アプリケーションやOS、ハードウェアの関係性と依存性を特定するソフトウェアモデルを用いて、問題の原因を突き詰めていくことができる。

将来バージョンとの互換性
 SMSとMOMの次期バージョンは大幅な変更が予定されているため、SCRM 2006に対応するのは現行バージョンのSMS 2003とMOM 2005のみだ。したがって今回のバージョンを利用する顧客は、次のバージョンが登場するまで、SMSやMOMサーバをアップグレードすることはできない。

3つのデータベースサーバが必要
 SCRMは3つのSQL Serverデータベースを必要とする。それ自身のサーバ、SMS 2003のサーバ、そしてMOM 2005のサーバだ。ところが、それらはいずれもSQL Serverの同一のインスタンスを使えない。それぞれのデータベースは、関連する複数のSQL Serverインスタンスを同一のサーバ上で実行することさえできない(サーバを仮想化した場合を除く)。サーバ1台のプロセッシングパワーでシステムのモニタリング、管理、レポーティングをカバーできる小規模な企業の場合、個別にサーバが必要となれば、SQL ServerやWindows Server 2003のライセンス、新規ハードウェアの追加などで、大幅なコスト増は避けられない。

Integration Servicesより旧式のDTS
 MicrosoftはSQL Server 2000のDTSをSQL Server 2005向けに全面改良し、Integration Servicesという新しい名前を与えた。新サービスは、シンプルなプログラミングと優れたパフォーマンスを実現しながら、従来より管理機能が強化されている。ところが、Integration Servicesは既存のDTSジョブとの完全なバックワード互換性がなく、DTSコードをIntegration Servicesに移行させるためにMicrosoftが計画している移植ツールも既存のDTSパッケージのサブセットにしか対応しないため、SQL Server 2005でもDTSのサポートが継続されている。

 さらにSCRM 2006は、Integration ServicesではなくDTSを利用する。その理由は、SCRMがMOMの既存のDTSスクリプトを利用するからだ。SCRMデータウェアハウススキーマは拡張性を前提にしておらず、必要なDTSスクリプトはあらかじめ用意されている。したがってDTSを選択したことは、ユーザーにとってそれほど問題とはならないだろう。とはいえ、Microsoftが将来リリースでSQL Server 2005のIntegration Servicesを使うようにアップデートするのはほぼ確実だ。

ADデータ用の自動化DTSジョブがない
 SCRMデータウェアハウスには、ADやERPシステム、HRシステムなどからデータを引き出すエレメント(ユーザーのロケーション、コストセンター、管理者名など)が含まれる。ところが、SCRM 2006にはそれらの情報を自動的かつ定期的に抽出するDTSジョブがないため、SCRMレポートに古い情報が混じる可能性がある。MicrosoftはSCRM 2006にExcelテンプレートを用意し、管理者はマニュアルで上記のソースから抽出したビジネスデータを取り込み、SQL Server Reporting ServicesのDTSインポート/エクスポートウィザードを使って、それらのデータをインポートできるようにしている。しかし、それに関してはあくまで評価、テスト用という位置付けであり、同社はいずれADデータをSCRMにインポートするためのガイダンスとサンプルスクリプトを用意する計画だ。そのスクリプトを利用して反復タスクを作成すれば、ADデータの転送を定期的、自動的に実行できるようになる。

システム必要条件

 SCRM 2006のRC版は英語バージョンのみだが、出荷される製品にはフランス語、ドイツ語、日本語の各バージョンが用意される。

 SCRM 2006を実行するにはSQL Server 2005のStandard Edition以上が必要だが、SQL Serverは含まれていない。しかし、 MOM 2005やSMS 2003の場合と同様、Microsoftは特別価格のSCRM 2006/SQL 2005 Serverバンドル製品を提供する計画だ。

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