JP1に見る、運用管理で求められるもの運用管理ツールで何ができるのか(2/3 ページ)

» 2006年03月18日 00時00分 公開
[ITmedia]

JP1のアーキテクチャ

 このような、コンセプトを具体化するため、JP1では大きく分けて3つのレイヤーからなる基本構造を採用した。一つは、ハードウェアやアプリケーションなどを管理対象とする「被管理レイヤー」、二つ目は、被管理レイヤーから集めた管理情報をまとめ、運用管理者に管理情報を提供する「管理レイヤー」、そして三つ目は各分野を統合して管理する「統合管理レイヤー」である。

被管理レイヤー
 被管理レイヤーでは、JP1の各種エージェントが、管理対象の機器上で動作している。このエージェントの役割は、必要な管理情報を収集して、管理レイヤーで動作する各種の「管理サーバ」に送信することだ。例えば、「資産・配布エージェント」は、インストール済みのソフトウェア情報や、パソコンのメモリやハードディスク容量などの情報をOSが標準で生成するログなどから収集している。また、ネットワーク機器の情報やネットワークのトラフィックなどを収集する場合には、ネットワークの標準プロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)の情報を使っている。なお、エージェントが管理情報を収集する際にはバックグラウンドのプロセスとして動作するため、監視対象機器の動作に与える影響は、無視できるほど小さい。

管理レイヤー
 管理レイヤーは、被管理レイヤーのエージェントを操作したり、エージェントからの情報を集約・表示したりする「管理サーバ」から構成されている。管理サーバは、管理対象ごとに存在し、JP1が提供している管理サーバとして、資産・配布管理、ジョブ管理、アベイラビリティ管理、ネットワーク管理、セキュリティ管理、ストレージ管理の6つがある。各管理サーバは、エージェントから収集した管理情報を、管理サーバごとに備える「管理情報データベース」に蓄積する。

統合管理レイヤー
 最上位に位置する統合管理レイヤーは、名前のとおりシステム全体を統合的に監視するもので、主な役割は障害や各種作業の実行状況といった情報を収集して、管理者が参照できるようにすることである。収集した管理情報は、データベースに蓄積しておく。ただし、すべての情報を無条件に蓄積するわけではない。時々刻々と送られてくる管理情報の中から、情報の種類や重要度など、管理者が指定した条件に応じてフィルタリングしたものだけが対象となる。

 統合管理レイヤーで収集される情報をフィルタリングするのは、JP1管理基盤だ。JP1管理基盤は、統合管理レイヤーと管理レイヤーの中間に位置する。

 なお、JP1では統合管理レイヤーを導入しない場合でも、管理レイヤーの中から必要な管理サーバだけを選んで導入することができる。各管理サーバは、対応する管理用エージェントを組み合わせて、独立した運用管理製品として動作する。つまり、スタンドアロン環境から大規模なブレードサーバ環境に至るまで、同一アーキテクチャでスケーラブルに対応できるのが最大の特徴である。

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