WAN高速化のブルーコート、10倍の“マッハ”スピードを実現

米BlueCoat Systemsの日本法人であるブルーコートシステムズは、新社長に河田英典氏が就任するほか、プロキシ製品に新しい高速化技術を搭載することを発表した。

» 2006年03月23日 16時20分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 米BlueCoat Systemsの日本法人であるブルーコートシステムズは3月23日、都内で報道関係者に説明会を開いた。

 ブルーコートシステムズが手掛けるアプライアンス「Proxy SGシリーズ」は、CacheFlow時代から培ったキャッシュプロキシ技術を基盤に、SSLプロキシによるHTTPS通信の制御やP2Pソフト、スパイウェアのブロックといったセキュリティコントロールと、帯域の最適化によるアプリケーション通信の高速化という2つのソリューションを提供する製品である。「われわれだけがセキュリティとパフォーマンスを両立させることができる。どちらかを犠牲にすることはない」(アジア担当副社長のマット・ヤング氏)。

河田社長 5代目の社長に就任した河田英典氏

 1月に代表取締役社長に就任した河田英典氏は、セキュアコンテンツ/アプリケーション配信市場で米Network Appliance、米Cisco Systemsなどを抑えてシェアナンバーワンであるデータを示しながら、「60%のシェアを取りたい」と2006年度の抱負を語った。

 それを実現する施策として、販売面では1次代理店の拡充と2次代理店への直接の技術サポート、さらに主要顧客である大企業向けに営業部隊の編成を計画中。また、サービス、サポート面においては、修理部品をストックするパーツセンターを品川に開設したり、4月にはマクニカネットワークスと共同で資格認定制度やトレーニングコースの開始を予定している。いくつかのキャリアとセキュリティマネージドサービスを始める準備もあるという。

SSLとビデオの高速化に着目した「MACH 5」

 併せて同社は、Proxy SGに搭載予定の高速化技術「MACH 5(マッハ5)」の概要も明らかにした。

Proxy SG Proxy SGシリーズ

 MACH(Multi-Protocol Accelerated Caching Hierarchy)5は、広域ネットワークにおいてCIFS(Common Internet File System)によるファイル共有だけでなく、SSLを使うアプリケーション通信の高速化やビデオストリーミングの高速化を実現するWAN最適化技術。SSL通信を「中継」することで暗号化データの中身をチェックできるプロキシ技術をベースに、(1)キャッシング、(2)圧縮、(3)プロトコル最適化、(4)帯域管理に関して、5つの高速化技術を提供する。

 このうち(1)については、オブジェクトキャッシュとバイトキャッシュの2つのキャッシング技術がある。オブジェクトキャッシュは、Webコンテンツをフォワードプロキシでローカルキャッシュすることで通信負荷を減らす手法で、キャッシュがセンター側サーバと同期することでビデオアプリケーションなどの高速化が図れる。バイトキャッシュでは、一定に繰り返されるTCPの通信パターンをタグ情報としてキャッシュデータに持たせ、リモート側のデータが更新された場合に、その差分とタグを合わせて数バイト程度の小さなデータのみの通信量に抑えることが可能だ。

 また(2)では、HTTP通信を圧縮したり、ファイルをgzip圧縮してキャッシュすることによりトラフィックを少なくする。(3)については、ファイル共有(CIFS)、メール(MAPI)、ファイル転送(FTP)などの通信で発生する遅延をプロキシ技術で最適化し、アプリケーションの高速化を図る。

 こうした技術を組み合わせた結果、「HTTPの場合、10倍以上の速度改善がある」(マーケティング上級副社長のスティーブ・ムラニー氏)という。ただし、バイトキャッシュやプロトコル最適化、帯域管理の効果については、Proxy SGシリーズを対向で設置する場合にのみ有効だ。

 MACH 5はProxy SG用の新バージョンのOS(Blue Coat SGOS 5)に組み込まれ、5月に出荷される予定。バージョンアップのコストは、各代理店のサポート料に含まれる。なお、現行のOSを搭載するアプライアンスも並行して販売される。本体の価格は、エントリーモデルのSG200が20万円から、最上位モデルのSG8000が800万円から。

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