これまで3回にわたって、中堅企業のIT化シナリオをソリューションやツールの側面から説明してきた。
だが、これらのアイテムを最大限に使いこなすためには、ユーザーの意識改革が欠かせない。内部統制などのコンプライアンスに対する取り組みも、結局ユーザーすべてが決められたルールを守り、正しいオペレーションを実施することに成否が懸かる。どれほど高度なERPシステムや優れた監査システムを導入しても、使う側の意識レベルが低ければ何の効果も出ない。
米国SOX法施行後にある監査法人が顧客企業を調べたところ、約10%が対応できていなかった。そのうち30%は文書化やそのIT対応が十分でないことが原因であり、ほかの20%は運用するユーザーの育成レベルが低いことが原因になっていた。
つまり、内部統制への対応不備の半分に当たる50%が作業不備によるものと報告されているのだ。最近米国で経営破たんした自動車部品メーカー2社の直近の年次レポートを見ると、内部統制対応に関する監査法人のコメントにいずれも「現場の習熟度が低く改善の必要がある」と記述されていた。この指摘と経営破たんが無関係とは到底思えない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.