難しく考えず「SAPレディー戦略」を見習うべき?強い中堅企業のIT化シナリオ(4/4 ページ)

» 2006年03月24日 08時00分 公開
[鍋野敬一郎,ITmedia]
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シナリオ:内部統制対応のキーワードはユーザー育成

 さて、中堅企業におけるエンドユーザーのレベルアップを実現するIT化シナリオを考えてみよう。

 ポイントは、ユーザーの目線で参加しやすい仕掛けを作ることだ。システムを使い続けてもらうための簡単なツールを絞り込むことがカギになる。そして、大前提として、ユーザーの努力をちゃんと評価することが重要だ。

 中堅企業を強くするためにIT化は避けて通ることはできないが、現場でITを使う必然性を実感することが意外に少ないのも事実だ。電子メールやExcelを個々のユーザーが使わなくても、アシスタントや営業事務の担当者がいれば十分事が足りてしまうことも多い。しかしここに落とし穴がある。特に、内部統制への対応では、業務処理を行う担当者がその意味を理解して作業を行わなくてはならないからである。

 このような、ITを必要としない企業のIT化についての具体的な対処法を考えてみる。

 まず、ITを使う理由と使わなかった場合のリスクをエンドユーザーに繰り返し理解してもらうことが重要だ。そのためにはまず、ITに馴染んでもらわなくてはいけない。高度なツールを使うのではなく、電子メールやExcel、インターネットに触ってもらうためのシナリオを考えよう。

 また、使うツール類は可能な限り絞り込み、共通化する必要がある。OfficeとInternet Explorerは最も基本的なビジネスツールだが、バージョンが社内で混在するなど問題点も多い。これらは統一し、サポートしやすい環境を整えるべきだ。

 そして、定着化させるための手段として、各種の報告書をExcelで作成し、電子メールに添付させる仕組みを確立することが必要だ。最初は多少ハードルが高くても、日々の作業に組み込まれたものは非常に有効に機能する。そしてそのやり方について、いつでもヘルプデスクや身近なサポーターに聞きやすい環境を作ることが必要だ。

 繰り返しになるが、時間がかかったとしてもユーザー自身がシステムに慣れることが何よりも重要である。e-ラーニングなどのツールもあるが、これは予習や復習の手段として使うにとどめたほうが懸命だ。質問できないツールでエンドユーザーレベルを向上することは簡単ではない。

 さらに大切なことは、こうしたユーザーの努力を経営トップが評価することである。全ユーザーのIT化レベルが向上すれば、確実に競合他社に対するアドバンテージにつながる。初めはMS-Officeの習熟からでも、数年経てば高度なITツールを自在に使いこなせるレベルに達することが可能だ。

IT化のポイントは意識改革
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