Azul、48コアプロセッサ製品化へ

Sunの元副社長が率いるAzulは、Javaアプリケーション高速化アプライアンス向けに48コアプロセッサ「Vega 2」を来年製品化する。

» 2006年03月29日 19時14分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 大規模Javaコンピュータアプライアンス「Azul Compute Appliance」を昨年発表した米Azul Systemsは、同アプライアンスに搭載されている同社のVegaプロセッサの次世代版を来年投入する。Compute Applianceは、JavaおよびJava 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)アプリケーションの処理を汎用サーバから肩代わりすることで、こうしたアプリケーションの性能を向上させるように設計されている。

Azul Compute Appliance

 現行のCompute Applianceに搭載のVega 1は、1チップに最大24個のコアを搭載できる。現在試作段階にあるVega 2では、最大48個のコアが搭載可能になる。

 「現在、ラボで試作品を動作させている」とAzulのエンジニアリング担当副社長スコット・セラーズ氏は語る。

 Azulは、他社がストレージやI/Oの分野で実現していることをJavaアプリケーションの処理に関して実現することを目指している。Compute Applianceでは、ユーザーが必要に応じて利用できるリソースのプールを作成し、Javaアプリケーションの処理をサーバからこのプールに移して実行できる。Azulの幹部は、Compute Applianceにより、ユーザーはコンピューティングリソースをより効果的に活用でき、データセンターのスペース、処理能力ニーズ、コストをより効果的に管理できるとしている。

 Vega 1を搭載する既存のCompute Applianceは、最大384プロセッサコアを搭載できる。企業はBEA SystemsのWebLogic、IBMのWebSphere、またはJBossなどが動作するサーバにAzulのプロキシソフトをインストールすることで、Javaアプリケーションの処理をこうしたサーバから移すことができる。

 セラーズ氏によると、Vega 2は8億1200万個のトランジスタを搭載し、Vega 2を採用したアプライアンスは、最大768プロセッサコアを搭載できるようになる見通しだ。このプロセッサの詳細は正式リリースが近づいた時点で発表されるという。

 Vega 2はAzulが設計を進めており、製造はTaiwan Semiconductor Manufacturingが行う。90ナノメートル(nm)プロセスで製造される見込みだ。

 Azulにとって、イノベーションを継続していることを顧客と見込み客に示すことは重要だとセラーズ氏は語る。

 「われわれの技術が企業に採用されるようになってきたことで、強力なロードマップが必要となっている」(同氏)

 Azulは2月、グローバル銀行のCredit Suisseがデータセンターで同社の技術を採用すると表明したことを向け、大口顧客を獲得したと発表している。

 一方、AzulはSun Microsystemsの怒りを買っているようだ。Azul幹部の多くはSunの出身だ。Azulは今月、大手競合企業のSunがこの1年にわたって、特許侵害と企業秘密の不正使用で訴えると圧力をかけてきたとして、Sunに対する訴訟を起こした。Azulはこの提訴について、Sunが一時金の支払いや出資受け入れなどを要求してAzulを食い物にしようとしているため、先制攻撃を仕掛けたとしている。

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