締め切り間近――「異分野」コミュニケーション支援策で飛躍する中堅企業強い中堅企業のIT化シナリオ(1/3 ページ)

前回に引き続き、中小企業庁による中堅・中小企業の課題解決力や業績拡大を積極的に後押しする支援策に注目する。今回は、異分野企業同士が連携する「新連携」と、戦略的なIT化を促進する新たな施策について紹介しよう。

» 2006年03月30日 08時00分 公開
[富永康信,ITmedia]

 オンラインムック強い中堅企業のIT化シナリオ

富永康信(ロビンソン)

 中小企業新事業活動促進法による支援策のうち、経営革新とともにもに注目されるのが、「異分野連携新事業分野開拓」(通称:新連携)である。これは、日本標準産業分類での細分類が異なる企業同士、つまり異業種、異分野の企業が連携して新しい商品やサービスの開発、生産、提供を行い、市場において継続的に事業を成立させるための施策だ。

 中核となる中小企業が存在することが条件で、2つ以上の企業が参加し、大企業や大学などが参加してもいいが、中小企業の貢

献度合いが半数以上であることを条件とし、参加企業間で役割分担や責任体制が明確になっていることが必要とされる。

 これまでも、協同組合的な企業連携は存在したが、その多くは同業者での集まりによる共同購買や共同受注などの仲間内の利益追求だった。そのため、この制度では、特化した技術や強みを持っていても販路やマーケティング力がないばかりに、その力を発揮できなかった企業同士が補完し合える効果を狙っている。さらに、その事業分野で販路を開拓することまでが求められるのだ。

 支援までのプロセスは図2の通り。ここで重要な機能を果たすのは、戦略会議と評価委員会である。融資や補助金は、中小企業にとっては大変魅力あるものだろうが、カネのばら撒きに終始しては困る。補助金の獲得を主に考えるのではなく、むしろ個別に準備された支援チームが連携体に支援をすることが重要となるために、この2つの組織が用意された。

「異分野連携新事業分野開拓」の支援プロセス

事業性を見定めるための新連携戦略会議

 では、この戦略会議と評価委員会の役割とは何か。新連携では、連携体が構築できたら事業計画を作成し、それが認定されると事業計画が実施される流れとなるが、この間に戦略会議事務局が絡む。中小企業診断士や販売戦略アドバイザー、技術士、税理士、公認会計士などの専門家が、アイデアの実現や体制の確立などの面で、本当に事業性が存在するか、金融機関も交えた厳しいブラッシュアップがなされていく。

 「新連携は、あくまでも市場化するための視点で支援するもの。理念ばかりが素晴らしくても、その商品が本当に売れるのか、収益が上げられるのかの議論がこの戦略会議で交わされる」と話すのは、経営支援部経営支援課の課長補佐で、新連携を担当する久保隆治氏だ。

中小企業庁 経営支援部 経営支援課 課長補佐(新連携担当)久保隆治氏

 この段階である程度事業化のめどが立ったら、戦略会議の中に新連携評価委員会が構成される。そこで認められれば、地方経済産業局で認定書が交付され、晴れて新連携事業計画が実施される。

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