MSが踏み込むパートナー領域は「有害情報からの保護」(2/2 ページ)

» 2006年04月03日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 Family Safety Settingsでは、米国小児科学界(AAP)の協力のもと、適切な制御レベルの設定方法や、子供が禁止対象のサイトへのアクセスを試みた場合などの対処方法についてのアドバイスが提供される予定だ。認証はMicrosoftのPassportサービス(いずれWindows Live IDに名称変更予定)により処理される。Family Safety Settingsによる規制が確実に適用されるようにするため、ユーザーはまずPassportにログインしなければWebサイトにアクセスできないようになる予定だ。また、子供たちが新しいPassportアカウントを取得することもできないようにする。

他製品との機能の重複、パートナーへの影響は?

 Family Safety Settingsの機能は、Microsoftが既にMSN Premiumを通じて提供している機能と重複する。MSN Premiumは、専用のクライアントソフトウェアとサービスを月々10ドルで提供するコンシューマー向けのサブスクリプションサービスだ。また、一部のインターネットサービスプロバイダは自社のブロードバンドユーザー向けに同サービスをバンドル提供している。ただしMSN Premiumと異なり、Family Safety Settingsは無償での提供となり、広告サポート型のサービスでもないため、Microsoftに収益をもたらすことはない。

 Microsoft Technology Care and Safety部門の製品部門マネージャーAlan Packer氏によると、同社は、インターネットやコンピュータの利用に対する否定的な見方を払拭するための大きな取り組みの一環として、Family Safety Settingsの無償提供を決めたとしている。同氏は、現在多くのサードパーティがペアレンタルコントロール製品を提供しているが、このような製品の普及率は比較的低く、また制限を過度に適用したり、保護者による操作事項が多すぎるといった問題があること、設定について児童教育の専門家によるアドバイスを提供している製品はないことを指摘している。

 Family Safety Settingsの機能は、Windows Vistaのペアレントコントロール機能とも重複する。どちらの製品も(同じデータベースに基づく)Webフィルタリング機能と利用状況レポート機能を提供するが、Vistaでは子供の年齢に応じてゲームや他のアプリケーションへのアクセスを禁止する機能などOSレベルの機能も提供する。一方Family Safety Settingsでは、独自の機能として連絡先セーフリストやネット利用状況レポート、子供からの制限解除リクエストの送信機能などを備えている。この2つの製品を組み合わせれば、サードパーティが提供するペアレンタルコントロール製品の強力な代替製品が無償で手に入ることになる。サードパーティにとっては厳しい競争が強いられることになるかもしれない。

 また、同サービスはMicrosoftが2006年2月にFutureSoftから買収したDynaComm i:filterテクノロジーとも重複する。DynaComm i:filterは、Microsoftのファイアウォール、仮想プライベートネットワーク、コンテンツキャッシュ製品であるInternet Safety and Acceleration (ISA) Serverへの実装が予定されている。Family Safety Settingsと同様にi:filterでも、さまざまなカテゴリ別にWebサイト情報を格納したデータベースに基づいてWeb要求を検証し、該当するサイトへのアクセスをブロックする。ただし、この2製品の使用目的は異なっており、例えばi:filterの対象ユーザーとなるであろう企業では求職支援サイトや株取引サイトへのアクセスを阻止したり、子供に対するアクセス制限を行う場合よりも注意して過度な規制を行わないよう気を配る必要がある。したがって、現時点では両製品やその基盤となるテクノロジーの統合は計画されていない。

 Family Safety Settingsは現在一部の限られたユーザーを対象にβテストが実施されているが、2006年夏に公開βテストが実施される見込みだ。公開βはWindows Liveのβページにおいて提供される予定。

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