マスマーケットに狙いを定めるMSの「Team Foundation Server」(2/2 ページ)

» 2006年04月18日 17時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 一方、Microsoftのデベロッパー部門のコーポレート副社長を務めるS・ソマセガー氏によると、VSTSプラットフォームの主要な強みは、各コンポーネントが相互に、またMicrosoftのほかの技術と見事に連携していることだという。

 ソマセガー氏によると、Microsoftは今後もVSTSがサポートするロールの拡大に注力する。その一方で、同社の「Windows Live」戦略の一環として、Web 2.0スタイルの開発機能(複合アプリケーションやエンタープライズマッシュアップの作成など)を強化する方針だという。しかしVSTSに関する戦略の推進策については、まだ具体的には何も決まっていないという。

 「われわれが『Windows Liveは開発者にとって何を意味するのか』を説明するときに、考えなければならないことが2つある」とソマセガー氏は話す。

 「1つは、Visual Studioが、Liveサービスを作成・カスタマイズしたり、サービスのマッシュアップを実現したりするのに最適なツールになるにはどうすべきかということだ。それに加えて、開発者が当社のプラットフォームを有効に活用するためには、われわれはどんなサービスを提供すべきなのかということを考えなければならない。しかしVSTSは、単にソースコードを保管する場所というだけでなく、それよりもはるかに幅広いプラットフォームである」(同氏)

 MicrosoftはRational Softwareを買収する機会を見送ったものの、Rationalの複数の開発者に、VSTSの開発を手伝うためにレドモンドに来るよう誘っていたようだ。情報筋によると、MicrosoftはRationalのチーフサイエンティストであるグレーディー・ブーチ氏にアプローチしたが、同氏はIBM(Rationalの親会社)にとどまることを決めたという。

 しかし、エンタープライズ市場でのMicrosoftのプレゼンスを拡大するという単純なアイデアからスタートしたVSTSが今や、同社のデベロッパー部門の主要な牽引力となったのである。

 「これが開発者向けツール製品の成長を牽引するエンジンになるのは確実だと考えている。今のところ、すべて順調だ」とソマセガー氏は話す。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにあるForrester Researchのアナリスト、ケリー・シュワバー氏は、エンタープライズツール分野でMicrosoftが成功する可能性は非常に高いと考えている。同氏によると、Microsoftのツールセットはエンタープライズクラスのスケーラビリティを実現しているという。しかし「彼らがエンタープライズツール分野に進出する上で最大の障害となるのが、プラットフォームのサポートだ」とシュワバー氏は指摘する。

 「この障害がすぐになくなるとは思えない。企業のIT部門は異種混在環境になっている。また開発ツールの標準化への流れは、多くの企業がサイロ(孤立したシステム)を作らないようにするために、プラットフォームサポートが貧弱なツールを避けるようになることを意味する」(シュワバー氏)

 一方、オランダのベーネンダールにあるInfo Support International GroupのITアーキテクト、マーセル・デブリース氏は「高品質ソフトウェアの開発をめぐる当社のビジョンを完全にサポートする新しいツールセットを提供するとMicrosoftが発表したとき、われわれはTechnical Adoption Programに飛び付いた。Microsoftの協力を得て、当社のソフトウェア工場のエンジンを入れ替える方法を検討した」と話す。

 デブリース氏によると、それまでInfo Supportでは日常的な開発業務には、自社開発ツールやオープンソースツールを使っていたという。

 「われわれはこれらの多数のツールを自社で管理する苦労から解放されるために、Microsoftのツールを使いたいと思った。同社のツールを利用することにより、当社のソフトウェア工場の構成、セットアップ、調整に斬新な手法を採用できるようになり、またユニットテストの作成、実施やデイリービルドの実行に役立つコモディティツールを探す必要もなくなった」(デブリース氏)

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