Fiat車の次はあるか? MS車載OSの2本立て戦略(2/2 ページ)

» 2006年04月19日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 WMFAは以下のような機能を備えている。

  • MicrosoftのSpeech API(SAPI)5.0ベースの音声対応ユーザーインタフェース
  • 携帯電話で採用されているHands Free Profile 1.0などいくつかのBluetoothプロファイルのサポート
  • USBサポート
  • デジタルオーディオ再生(MP3、WAV、Windows Media Audio)
  • GPS位置特定技術のサポート
  • GSM携帯電話ネットワークを使ったメッセージの送受信
  • CAN(Controller Area Network)と呼ばれる車内ネットワークを通じて自動車部品間でやり取りされるメッセージを読み込めるプロトコルスタック
  • 基本的な動作やサポートに必要なその他の機能。例えば、電源管理、診断ツールのサポート、USBポートやBluetooth対応携帯電話経由でのソフトウェア更新プログラムの取り込みなど

 FiatのBlue&Meシステムの最初のバージョンでは、これらの機能の一部しか使用されない。このバージョンでは、ドライバーは140モデル以上の携帯電話を音声コマンドで操作でき、これらの携帯電話で受信したSMS(Simple Message Service)テキストメッセージを読み上げさせたり、メッセージを小型LCDディスプレイに表示させたりできる。また、USBストレージデバイスを接続して音声コマンドでオーディオファイルを再生することもできる(ただしWMFAは、AppleのiPodファミリーデバイスでデフォルトのオーディオ形式として採用されているAACをサポートしていない)。

 FiatはBlue&Meを拡張し、位置案内や、交通情報の自動提供などの機能をサポートするかもしれない。またCANプロトコルスタックは、ロードサイドアシスタンスサービスの利用を支援できる可能性がある(例えば、エアバッグが作動したときに救急サービスに連絡するなど)。Microsoftはこうした機能については自社で提供する考えはなく、自動車メーカーに提供を委ねる方針だ。

当面はWMFAとWindows Automotiveが併存

 WMFAは、BluetoothやUSBなど広く使われている技術をサポートしている。標準化されていない技術に関しては、Microsoftはアプリケーションを車種間で移植するのに必要な作業を最小限に抑えようとしてきた。例えば、車種によってさまざまなCANが使われているが、WMFAは、CANメッセージ(例えば、駐車ブレーキの作動など)をアプリケーションで認識可能な信号にマッピングする抽象化レイヤを採用している。

 だが、WMFAの現在の顧客は1社だけであり、GSM対応など一部の機能は欧州市場をターゲットとしたものだ。このため、車載アプリケーション開発会社はWMFAの普及に大きな弾みがつくまで、WMFAに本腰を入れて取り組むのを見合わせようとするかもしれない。

 Microsoftは当面の間、アフターマーケットメーカーや、よりカスタマイズされたソリューションの開発を目指す自動車メーカー(とサプライヤー)向けにWindows Automotiveの提供とアップデートを継続するだろう。

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