「ハードウェアの企業と思っているかもしれないが、EMCはソフトウェアで最も成長している企業だ」――ソフトウェアグループ社長のデビッド・デウォルト氏は基調講演で、買収戦略によって新たなソフトウェア戦略を構築していると話した。このようなソフトウェア戦略を抜きに最近のEMCを語ることはできない。
EMCにとってソフトウェアが果たす役割は、情報資産をソフトウェアが理解するインテリジェントなITインフラを可能にすること。つまり、ILM戦略の要を担う機能を提供するものだ。
デウォルト氏は「企業はアプリケーションごとにデスクトップソフトやアプリケーション、ミドルウェアなどのスタックを持っている。このようなヘテロジニアスな環境に対応する共通のインフラを提供するのが目的だ」と話す。リソース管理やリカバリマネジメント、アーカイブ、コンテンツ管理など、情報を中心にしたアプローチでインフラ管理に一貫した方法論を提供したいという。
特に情報という観点では、企業のデータの70%〜80%を占めていると言われる非構造化データに着目しており、これらをあらゆる観点で管理可能にしようとしている。中でもセキュリティの管理は、EMC World 2006で新たな取り組みをアピールしている点。コンテンツ管理ソフトのDocumentumを中心に「情報のオブジェクトに対し、セキュリティポリシーを適用することで、アクセス制御や暗号化などを行えるようにする」とデウォルト氏。
また、同社の情報セキュリティ担当副社長のデニス・ホフマン氏によると、ILMスタックのすべてのレイヤでセキュリティ機能を持たせていくことにもなる。同氏はプレス向け説明会の中で、「これまでセキュリティベンダーが提供してきた境界セキュリティだけでは不充分」と話し、情報漏えいなどの対策として新たに情報を中心としたセキュリティが必要になると説明した。
それには情報のライフサイクルを基にセキュリティを考えていく必要があり、ここでもILMが大きな役割を果たすことになるという。「ILM企業だからこそ情報を中心にしたセキュリティを語ることができるのだ」(ホフマン氏)
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