新会社法のメッセージは「SEよ大志を抱け」?顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編(1/3 ページ)

5月1日にいよいよ「新会社法」が施行された。内部統制の整備への要求が明示化されたことにより、その実現手段であるITの在り方を描くSEにとって重要な法律となった。また会社の立ち上げが容易になったこともSEの将来のキャリアパスに大きな変化を与えそうだ。

» 2006年05月01日 00時50分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

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 最近話題の「内部統制」といえば日本版SOX法ばかりが思い浮かぶが、5月1日に施行されたばかりの新会社法でも「内部統制システムの整備」が経営者に義務づけられている。法務省のページにもあるように、新会社法の目的は以下の2つだ。

  • 最近の社会経済情勢の変化への対応などの観点から、最低資本金制度、機関設計、合併等の組織再編行為など、会社に係る各種の制度の在り方について、体系的かつ抜本的な見直しを行っています
  • 商法第2編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律などの各規定を現代的な表記に改めた上で分かりやすく再編成し、新たな法典(会社法)を創設しています

 目的の2番目にあるように、会社法はこれまでのカタカナ文語体をひらがな口語体に直した。これだけでも、読みやすく、理解しやすくなっており、会社に関連するさまざまな規定が統合されている。この中で特に注目を浴びているのは、最低資本金制度の廃止、有限会社法の廃止および合同会社の創設、取締役や監査役など体制を定めた機関設計の変更の部分であろう。

 このほかにも、M&Aなどに対応した組織再編行為の自由化、剰余金分配手続きの自由化など、会社運営に直接かかわる部分も新たに定められている。

技術者はこの法律にどうかかわるべきか

 さて、多くのSE(システムエンジニア)の方は「会社法は経営者や監査人、会社設立業務を請け負う司法書士や行政書士などの専門家が気にかけるべきもの」ととらえ、自分には関係ないと考えているかもしれない。とはいえ、SEであっても次の2つの面から会社法について理解し、考えてみることをお勧めしたい。

 1つ目の理由は、最初に指摘した「内部統制システムの整備」という観点が盛り込まれているからだ。

 2008年4月1日以降開始の事業年度から適用される日本版SOX法(仮称:金融商品取引法案)については、現時点で若干の執行猶予がある。それに対し、会社法は既に施行されてしまった。会社法が意図する内部統制システムの整備対象は、取締役会を設置している大会社の経営者だ。とはいえ、中小企業がこれをおろそかにするべきではない。内部統制システムの「システム」はITを指し示しているわけではなく、簡単に言えば、経営者に会社業務の適正さを確保し、必要な措置をきちんと施すことを要求しているものである。

 日本版SOX法が謳っているのは「適正な財務報告書であること」「そのための適切な情報開示を経営者が保証するためにITシステムを活用すること」である。ある意味でこれは財務会計分野に特化したものといえなくもない。これに対して会社法は、企業運営そのものが適正かどうかを問うものであるため、企業が対応するためにはSOX法よりも広い範囲で内部統制を実施しなくてはならない。

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