新会社法のメッセージは「SEよ大志を抱け」?顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編(2/3 ページ)

» 2006年05月01日 00時50分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

内部統制の視点が不可欠に

 そこで、ITが必要ということになる。企業運営でもっとも重要となる「お金」を管理するのは会計や財務のシステムであり、当然ながらそれらは元をたどれば営業管理や予算管理のシステムとつながっている。これだけでもITの深いかかわりを理解できる。また、業務を遂行するのは従業員であるため、従業員がどのような業務を実施したかを把握する業務報告のシステムも必要だろう。例えば、さまざまな記録を正確かつ整然と管理し、会社運営全体の状況を可視化するにはBI(ビジネスインテリジェンス)の仕組みが必要になってくる。

 そうなると、SEは企業内で利用される業務要件を正確に把握した上でITでそれをサポートし、内部統制システムの整備基準が満たされていることに常に気を配る必要があるわけだ。一般に、これまでのIT部門は主に、コスト効率を判断基準にして提案を行ってきた。しかし、今後は「内部統制を実現できる仕様であるかどうか」を常に自らに問いかけながらシステムを設計、構築していくべきなのである。

 例えば、SEが現場の使い勝手を必要以上に優先することにより、ある時点で確定した事項を承認プロセスもなく変更できるようなシステムを構築してしまったら、だれもそのシステムを信頼できず、その組織には内部統制が整備されていないということになってしまう。

 また、「普段は会計部門と営業部門が持つ数字が異なっており、決算の締めに当たってつじつまを合わせる」というのももちろんいただけない。こうしたさえない仕様から脱却することはもちろん、オーバースペックと思われた二重チェックの仕組みなどを、できれば自動化の形で実装できるような提案をすることが、内部統制の時代に求められるSEへの期待であろう。

 また、SEは自社あるいは顧客企業の業務の進め方が内部統制に基づいているかについても意識しなければならない。違法行為は論外だが、作業記録をきちんととる、機密、社内秘などの情報を適切に取り扱う、報告、承認などのプロセスを確実に実施できていることを常に確認したい。内部統制の整備には従来の発想を転換させる必要あるため、それに沿って業務の見直しも必須になってくる。

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