仮想化技術は本質的には安全と考えられている。だが少なくとも1人のアナリストによれば、確かにIntelの仮想化技術はセキュリティ面で大きなメリットを提供するかもしれないが、それでも、こうした仮想アプライアンスのアプローチがハッカーの入り口として悪用されないかどうかについてはまだ疑問が残っている。
Current Analysisのアナリスト、アンドリュー・ブラウンバーグ氏は次のように語っている。「もしこのレベルでデバイスのセキュリティが破られたら、プロセッサレベルにまでアクセスできることになる。しかも、持ち主が侵入されたことに気付かないままでいる可能性も十分に考えられる」
さらに同氏によれば、Intelの計画ではパーティションは1つ、つまり仮想アプライアンスは1つしかサポートされないため、このアプローチの採用を控える企業もありそうだ。
Symantecの幹部によれば、少なくとも同社は既にvProの計画に着手しているため、Intelの仮想化標準の取り組みもおそらくサポートする方針という。
「当社は常に業界標準のサポートを心掛けている」と同社のアーキテクチャ担当副社長、レオ・コーン氏は語っている。
だがAstaroのネイハウス氏によれば、ほかの企業にも標準の仮想アプライアンスの取り組みに参加してもらうには、ある程度時間がかかるかもしれない。
「仮想化技術は既に完璧なマシンの抜粋という意味で、標準的な環境を提供する。そのため、実際のところ、そうしたシナリオの完成にはハードウェアは無関係だ」と同氏。
「仮想化技術を物理ハードウェアにプッシュする必要はあるが、このアプローチの利点は一部には、それが必ずしも必要不可欠ではないという点だ」とさらにネイハウス氏は語っている。
Intelはハードウェアとソフトウェア双方の業界標準の策定にも通じているが、フェロン−ジョーンズ氏によれば、同社がこの取り組みを進めるのであれば、より広範な仮想アプライアンスの実現を目指すことになる見通しという。
そしてIntelの取り組みの多くは、開発の合理化という名の下で開発者が同社のオンチップの仮想化サポート技術Intel Virtualization Technologyを自身のソフトウェアに統合できる方法を啓発するといった領域のものとなるだろう。
さらにIntelは仮想アプライアンス向けのパーティション構築ソフトウェアも開発しており、vProのパーティションの構築にもこのソフトウェアを使用している。
当初、セキュリティ/管理アプライアンスが提供されるプラットフォームはIntelのvPro Professionalプラットフォームのみとなる。同社は、いずれはほかの企業もvPro PC向けに仮想アプライアンスを構築するようになることを期待している。
だがvPro Professional以外のプラットフォーム向けに近い将来アプライアンスが提供されることはないだろう、とフェロン−ジョーンズ氏は指摘している。
通常、Intelは自社のプレミアム製品に最新機能を統合したいと考える。だが、LenovoなどのPCメーカー各社がどのモデルに自社のアプライアンスを追加するかまでは制御できない。
「仮想化技術は新たな世界をもたらす。最初は多くの試みがなされるだろう。だが、いずれは標準が確立していくだろう」とハイスミス氏。
「徐々に標準が確立され、IntelやMicrosoftなど各社がより多くのプラットフォームを提供するようになるだろう。それは仮想化技術にとってもプラスのことだ。この領域への参入障壁を引き下げることになるからだ」と同氏は続けている。
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