Office 2007導入の決め手には弱い? Word 2007の機能強化(2/2 ページ)

» 2006年06月13日 07時00分 公開
[Rob Helm,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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参考文献の一覧やブログ記事の作成を支援

 Word 2007では、法律家や学生、研究者向けに、参考文献の一覧の作成や引用文の書式設定を支援する引用文献一覧機能が大幅に強化されている。Word 2007では、一般的な学術論文形式(ChicagoやModern Language Associationなど)の参考文献のスタイルがサポートされるようになった。また、参考文献の一覧に含める項目や引用を挿入するためのユーザーインタフェースも簡素化されている。同機能を使用すると、参考文献の一覧のスタイルをすばやく変更できるため、文書間で一覧内の項目をコピーする場合は便利だろう。

 また、Word 2007では既定でインストールされるようになった数式エディタの強化も、多くの学生、教師、エンジニアに歓迎されるものと思われる。数式の作成を支援する一般的な数式のカタログを利用できるほか、数式オートコレクトオプションを使用すると、簡単な代替文字列を使用して数式を入力できる(たとえば“\beta”と入力するとβ記号に置き換わる)。また、Wordのコマンドを使用して数式の書式を設定できるため、文書内に数式が適切に収まるようにレイアウトできる。

 そのほか、Word 2007ではブログ編集用のモードが追加されている。このモードでは、利用可能な書式がHTMLで通常利用できる書式に自動的に制限される。Wordにブログのアカウントを登録すると、このブログ専用の編集モードで記事の新規作成や編集を行うことができる。

フォームや文書への埋め込みパーツを提供

 Word 2007は、Word文書内のデータを取得できる便利な機能も提供している。これは、Word文書の本文にFill Inフィールドを作成するための新しいコンテンツコントロールのセットである。既存の(Word 2007でも引き続き提供される)Wordフォームフィールドや差し込み印刷Fill Inフィールド、フォーム用ActiveXコントロールと異なり、この新しいコンテンツコントロールではデータバインドがサポートされる。このコントロールを使えば、比較的少ないコードでフォーム内のコンテンツコントロールとWordファイルに埋め込まれているXMLデータ間の双方向の接続を自動的に作成できる。顧客番号を標準の挨拶文に挿入するなど、自動的に文書の生成や文書からのデータ抽出を行う文書処理ソリューションをより容易に作成できるようになる(Wordのブログ編集モードを使用している場合は、ブログ記事のタイトルなど重要な情報を取得するコンテンツコントロールを使用できる)。

 また、Word文書をより体系的に管理するうえで役立つ、文書パーツと呼ばれる新機能も提供されている。これは、Wordの常用文(添え状や免責条項など)のカタログを拡張したもので、以前のWordで提供されていた定型句機能に似ているが、挿入データの書式設定機能が強化されており、ユーザーが規定した標準のスタイルに合わせて挿入したデータに書式が適用されるようにする。

Office 2007導入の決め手には欠ける?

 総体的に見て、Word 2007はExcel 2007と比べると強化点は少なく、おそらくWord 2007だけではOffice 2007スイートの導入の決め手となるほどの魅力はない。しかし実際にOffice 2007に移行した場合は、Word 2007の機能を活用できるかもしれない。たとえば、会社の標準の文書スタイルを適用するための文書パーツを社内に配布することでメリットが得られる組織は多いだろう。また、文書管理やレコード管理システムを運用している場合は、タイトルや作成者、本文に含まれる同様のデータを取得するコンテンツコントロールを埋め込んだWordのテンプレートを開発して、これらのデータの整合性を高めることもできる。

 現時点ではWord 2007のリリースは、Office 2007スイートと合わせて、ボリュームライセンスユーザー向けには2006年10月、一般ユーザー向けには2007年1月が予定されている。

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