Vistaは順調に進んでいる? 検証ツールとロゴプログラムに進捗(2/2 ページ)

» 2006年06月14日 07時00分 公開
[Paul DeGroot,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 また、ISVが開発したコードがVistaで適切に動作するかを検証するためのツールも発表された。これはStandard User Analyzerと呼ばれる、Vistaの重要な新しいセキュリティ機能User Account Controlのもとで適切に機能するコードの作成を支援する。Windowsのこれまでのバージョンは、レベルの異なるアカウント権限を提供しているものの、ほとんどのユーザーは既定の管理者権限を利用しており、ウイルスやマルウェアの被害を受けやすい環境が生み出されている。また、Windowsの権限レベルを組み入れたり考慮しているISVのソフトウェアは、これまでほとんど提供されていない。しかし、Vistaの新しいセキュリティ環境では、このようなソフトウェアは実行できないか、新しい資格情報を入力して権限レベルを変更するようユーザーに求めるメッセージが頻繁に表示されることになる。Standard User Analyzerを利用すると、開発したアプリケーションがVistaの権限レベルのもとで適切に機能するかを調べることができる。

Vistaのロゴ認定プログラム

 今回のWinHECで期待されていたことの1つは、Vistaのロゴ認定を受けるためのハードウェア要件と基準の明示である。Vistaロゴは、Vistaの実行に適したハードウェアをユーザーが購入時に容易に特定できるようにするためのプログラムである。ハードウェア要件は明示されたものの、一部、特にAeroグラフィックインタフェースの使用に必要なグラフィックハードウェアについては、ほとんどのユーザーは理解できないと思われる技術用語が使われている。

 WinHECでは、Windowsクライアント部門を統括するWill Poole氏により、OEM向けのWindows Vista Capable(基本機能)ロゴとWindows Vista Premium Readyロゴプログラムと、周辺機器およびアプリケーション向けのWorks With Vista(基本機能)ロゴとCertified For Vista(より高度な機能)ロゴについての説明があった。

 Works With VistaロゴとCertified For Vistaロゴが貼られたハードウェア製品は2006年末ごろに登場する予定だ。Windows Vista CapableロゴとWindows Vista Premium ReadyロゴはVistaのリリース前に販売されるOEM製品用で、Windows Vista Premium ReadyロゴはVistaのリリース後に別のロゴに置き換えられる見込みだ。

揺らぐVistaのリリース予定

 Microsoft幹部はWinHECや他のイベントにおいて、Vistaの現在のリリース予定(大口企業ユーザーへのリリースは2006年末、OEMへのリリースは2007年1月)が変更される可能性があることをほのめかし始めた。Poole氏は大口ユーザーへのリリース予定は2006年11月であることに変わりはないが、実際のリリースはβ2のフィードバックに左右され、11月のリリース日程は“重要なフィードバック”により決まるとしている。また同氏は、Microsoftは進捗状況を見直すためのチェックポイントを設けており、見直しの結果によっては、さらにスケジュールを調整する可能性があるとも述べている。

 CEOのSteve Ballmer氏も、ほぼ同時期に日本で同じ内容の発言をしている。同氏は「2007年初めのリリースに向けて順調に進んでいると考えている」としながらも、現在OEMとの話し合いが持たれており、その結果によってはリリースが2月にずれ込む可能性があることを示唆している。この翌日Ballmer氏は韓国で行われたロイターのインタビューの中で、「Vistaの開発は来年初頭、1月のリリースに向けて順調に進んでいる」と答えている。しかし「順調に進んでいる」というフレーズは、必ずしも“当初の予定どおり”であることを意味するものではない。Microsoftは現在のVistaのリリース予定を発表した際に、Vistaの開発プログラムは「順調に進んでいる」と発言しながらも、肝心のリリース予定は当初の発表よりも後に設定している。

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