Windows仮想化に新たな道を開くSoftGridとは?(2/3 ページ)

» 2006年06月23日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 これまでに2万5000以上のアプリケーション、例えば、既成のオフィス生産性アプリケーション(Microsoft Officeのような統合スイートを含む)、CRMやERPソフトのクライアント、グラフィックスを多用する特定業種向けソリューション、企業のカスタムアプリケーションなどが、Sequencerで再パッケージ化されている。

Virtual Application Server
 アプリケーションがSequencerでSoftGridモジュールとして再パッケージ化されると、これらのモジュールはVirtual Application Server(VAS)という中央サーバに保存される。管理者はVASコンソールを使って、誰がどのアプリケーションにアクセスするかなどの条件や制約を規定するポリシーを設定する。VASは、デジタルオーディオやビデオで使われるのと同様のファイルストリーミングプロトコルを介して、アプリケーションモジュールをアクセス権限のあるクライアントに効率的にダウンロードする。また、どのアプリケーションがインストールされているか、どのような頻度で使われているかを追跡する。

SystemGuardクライアント
 SoftGridでは、SystemGuardというクライアント側ソフトウェア環境を各デスクトップにインストールする必要がある。SystemGuardは、Windows 2000やWindows XPのOSサービス(レジストリ、構成ファイル、環境変数、COM API、フォント、ファイルシステムなど)を仮想化し、SoftGridモジュールとして再パッケージ化されたアプリケーション専用の実行環境を提供する。ユーザーが管理者からアクセスを許可されると、そのユーザーのデスクトップ、スタートメニュー、あるいはWebポータルに、アプリケーションのアイコンが表示される。アプリケーションがアイコンから初めて起動されると、VASはモジュールパッケージをユーザーのPCに配信し、アプリケーションは、通常の方法でインストールされたかのように動作する。だが、この間にMicrosoft Installer(MSI)やサードパーティのWindowsソフトウェアインストーラは使用されない。

 SoftGridでは、アプリケーションの起動に必要なコアモジュールだけが最初にクライアントに送信され、必要に応じて追加モジュールが送信される。VAS上に保存されたSoftGridアプリケーションモジュールの構成が変更された場合や、これらのモジュールがアップグレードされた場合には、クライアント上のモジュールの1つ以上の古いバージョンが新しいものに置き換えられる。アプリケーションモジュールのローカルキャッシングにより、以後の起動が大幅に高速化するほか、ユーザーはオフラインで作業できる(ポリシーで許可されている場合)。コンピュータごとやユーザーごとの構成データは、仮想化されたレジストリやユーザープロファイルストアに保存されるが、アプリケーションデータはローカルファイルシステムやネットワーク上の場所に書き込まれる。

SoftGridの利点

 シッククライアントに関するSoftGridのアプローチは大抵の場合、以下のように、通常インストールとターミナルサーバの両アプローチの優れた利点を提供し、これらのアプローチの欠点をほぼ解消している。

  • アプリケーションが相互に完全に隔離される。このため、多大なコストがかかる、新しいアプリケーションの導入前の互換性テストや、既存アプリケーションの更新時のリグレッションテストを行う必要がない(ユーザーは同じアプリケーションの2つのバージョンを同時に実行することもできる)
  • アプリケーションがユーザーのPC上でローカルに実行されるため、必要なサーバの数が非常に少ない(VASサーバはターミナルサーバよりも格段に多くのクライアントをサポートする)
  • ビデオやマルチメディアのパフォーマンスがターミナルアプローチよりもはるかに高く、ネットワークの速度に依存しない。

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