長期に使えるUbuntu DapperSuper Review(2/3 ページ)

» 2006年06月23日 13時58分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

デスクトップの選択

 今回リリースされたDapperには3種類のデスクトップが用意されている。Ubuntu(GNOME)、Kubuntu(KDE)、Xubuntu (Xfce)だ。わたしは3種類すべてをインストールしたが、どれが優れているかは一概に言えない。一番長く使用したのはKDEだ。だが、XfceとGNOMEの使い心地もなかなかのものだった。

 UbuntuのデフォルトのデスクトップであるGNOMEは、Linuxをはじめて使う人に適しているだろう。メニューの全体的なレイアウトが直観的にできているからだ。Applications、Places、Systemの各メニューが巧く区分けされている。だが、Applicationsメニューに「Run Command」オプションがなくなっているのは、何かの間違いではないかと思う。

 いずれのデスクトップもオフィスツールやマルチメディアソフトウェアは充実しているが、Xfceのデフォルトのパッケージ選定には物足りなさを感じる。XubuntuにはBitTorrentクライアントが含まれておらず、ゲーム関連のメニューも一切ないのだ。Kubuntuにデフォルトで Firefoxが含まれていないと知ってビックリするユーザーもおられるかもしれないが、KDEのAdeptパッケージマネジャーかGNOMEの Synapticパッケージマネジャーを使えば簡単に追加できる。

 わたし自身、XubuntuのデフォルトのXfce設定が好きとは言えないが、Xubuntuチームは多少なりともGNOMEデスクトップと同じに見えるよう設定したのだ。GNOMEほど重くせずにGtkベースの軽量デスクトップ環境を手に入れたいユーザーにとっては思わぬ贈り物かもしれない。しかし、場数を踏んだXfceユーザーが求めるものとは違うように思う。

 GNOME、KDE、Xfceのどれも気に入らないときは、UbuntuのリポジトリからEnlightenment、Blackbox、 Fluxboxなどのウインドウマネジャーを入手すればよい。追加パッケージをすべてインストールしたところ、これらのウインドウマネジャーがGDM chooserに追加されたのは嬉しかった。これまでのわたしの経験では、ほかのディストリビューションでもウインドウマネジャーの追加パッケージはインストールできたが、それらをディスプレイマネジャーのメニューに実際に組み込む作業はユーザーに任されていた。

Dapperの新機能

 最近リリースされるLinuxディストリビューションは、あまり大きく変化しない傾向がある。微調整や既存の機能への追加に改良の重点が移り、ビックリするような真新しい機能が登場することがなくなったからだ。これはDapperも同じである。多数の小さな改良がデスクトップに加えられている。

 最初に気づいた改良点の1つは、Kubuntuにソフトウェアパッケージ通知ツールが追加されたことだ。apt-get updateとapt-get upgradeを定期的に実行するのを忘れがちは人には役立つだろう。Kubuntuに簡易パッケージインストーラ(Adeptベースのウィザード)も追加された。メニューから「Add/Remove Applications」オプションを選択すると起動される。この簡易パッケージインストーラを使えば、インストール後にパッケージを簡単に追加できる。パッケージがメニュー(Office、Graphics、Gamesなど)別にまとめられているので、パッケージを探すとき迷わずに済む。Breezyがリリースされたとき、UbuntuにSynapticベースの同じようなインストーラが提供されたが、これがKubuntuに追加されたのは嬉しかった。Xubuntuではこの簡易パッケージインストーラの存在を確認していないが、Xubuntuには現在もSynapticがある。

 Deskbarも追加された。ほとんど何でも検索できるGNOMEアプレットだ。デフォルトで、GoogleなどのWebサイトのほか、ローカルディスクのファイルとフォルダを検索でき、辞書検索も実行できる。Beagle検索ツールとの連携もうまくいく。Beagleパッケージはデフォルトではインストールされない。Beagleデーモンに関係すると思われる速度低下がわずかながら見られたので、これはこれでよい。

 KDEには、KerryというBeagleフロントエンドも含まれている。Deskbarほどの機能(例えば、Googleや辞書検索など)はないが、ローカル検索は行える。DeskbarとKerryはどちらもチャットログ、メール、MP3メタ情報などから文字列を検索する。

 無論、Dapperには最新のGNOMEも含まれている。GNOME2.14のツール類をすべて利用できるわけだ。UbuntuにはデフォルトのGNOMEブラウザとしてEpiphanyではなく、Firefox 1.5.xが付属する。ただし、必要ならEpiphanyを別途インストールすることもできる。

 Kubuntuに同梱のKDE 3.5.2はもはや少し古い。5月31日にKDE 3.5.3がリリースされ、それよりも前にDapperのリリースが予定されていたからだ。3.5.3にアップグレードしたければ、幾つかのリポジトリを追加した上で、アップグレードを実行する必要がある。

 今回リリースされたXubuntuはまさに最先端のものである。β版のXfce 4.4が同梱されているので、近々アップデート予定のXfce 4.2を使わずに済む。デフォルトのアプリケーションとして、OpenOffice.orgの代わりにGnumericとAbiWordが、また Nautilusの代わりにThunarファイルマネジャーが含まれており、結果としてローエンドのハードウェアへの適合性が向上している。

 UbuntuのデフォルトのメディアプレイヤーはTotemだ。わたしはTotemにそれほど夢中なわけでもない。ムービープレイヤーとしてはよくできているが、わたしが通常使うMP3プレイヤーとしてはそれほどよくはないからだ。しかし、Banshee Music Player(Ubuntuリポジトリから入手可能)とamaroKは実に良い。これはデフォルトのKubuntuパッケージに含まれている。わたしはメディアファイルにデフォルトのアプリケーションを設定することにしているが、こうした操作はKDEに若干分がある。GNOMEでは、ファイルを右クリックし、Propertiesを選択し、Open Withタブでアプリケーションとオープンするファイルを選択する。KDEでは、Propertiesを選択するとダイアログが表示される。しかし、スパナの形をした小さなアイコンが唯一の目印で、そこにマウスを合わせるとはじめて「edit file type」と表示される(無論、これはKubuntuというよりもKDEの問題である)。

 マルチメディアに関してUbuntuに同梱されるのはフリーソフトウェアのみであり、MP3の再生やエンコードを有効にしたり、Flashなどのフリーでないフォーマットへの対応を行うのはユーザーに任される。MP3やGoogle Videoを再生しようと考えているなら、Ubuntu wikiの限定フォーマットを有効にする方法に関するページは必見だ。

 全般的にデフォルトのパッケージ選定は平均的なユーザーに適したものとなっているようだ。わたしにとって理想的なものとは言えないが、これを出発点に使いやすいデスクトップを作ればよい。この点は、Ubuntu、Xubuntu、Kubuntuのいずれも同じである。また、Linuxの世界に存在する主なパッケージは、Ubuntuのリポジトリからすべて入手できると考えてよい。

 UniverseリポジトリとMultiverseリポジトリが有効なら、UbuntuのリポジトリからVMware PlayerとSun Javaを直接インストールできる。ことにVMware Playerオプションは便利だ。VMware Playerの実行に必要なすべての追加パッケージもインストールされるので大幅に手間が省けるからだ。VMware Playerの手動インストールは手間がかかるので、誰もやりたがらないものである。

 ただし、Sun Javaをインストールする場合は、必ずSynaptic(GUIパッケージマネジャー)を使うこと。apt-get installを使おうとするとエラーとなるが、GUIインストーラでのみSun Javaライセンスを表示するよう設定されているからだろう。GUIフロントエンドよりもapt-getを直接使いたいと考えるユーザーがまだいることをUbuntuのパッケージ作成者は忘れないでほしい。

関連キーワード

Super Review | Ubuntu | デスクトップ


Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ