ドイツW杯閉幕、気になる東芝の損得勘定――FIFA公式スポンサーの投資効果(2/2 ページ)

» 2006年07月10日 07時28分 公開
[松浦義幹,ITmedia]
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 事実、東芝はドイツ大会に向けて欧州におけるPCのシェアを伸ばした。東芝ヨーロッパのコンピュータシステムグループで広報マネジャーを務めるマヌエル・リンニグ氏は「もともと東芝は、欧州においてノートPCのパイオニア的な存在であり、東芝製PCは堅牢性、信頼性、セキュリティなどの点から人気が高かった。それがW杯効果で、この1年間のPC売り上げはさらに10%以上の伸びを見せた」と話す。

 日韓大会のときも、東芝は韓国市場でPCの売り上げを前年比3倍に伸ばした実績を持つ。またドイツ大会直前、特別仕様のノートPC記念モデルを日本で限定600台、ドイツで限定2006台発売し、いずれも好評のうちに完売した。さらに、自国の代表チームが優勝した場合、東芝製品購入者にはキャッシュバックという大胆なキャンペーンを欧州各国で展開するなど、東芝は公式スポンサーならではの特権を最大限に活用し、PCの売り上げ拡大/シェア拡大を図った。

試合会場の外でも、東芝の巨大看板は異彩を放った

 オフィシャルITパートナーの投資効果はITのみに止まらない。欧州ではW杯を機に大型液晶テレビのブームが巻き起こり、東芝製品もW杯でのブランディング効果からか、こちらも売れに売れているという。欧州全体の薄型テレビ市場が2005年度の800〜900万台に対し、2006年度は1400万台という強気の予測の中、東芝製品は32インチ液晶テレビを中心に、市場の伸びをさらに上回る250%増で推移している。

 ドイツ市場でAV機器を担当する東芝システム欧州社の西村弘志副社長は「ドイツでも薄型テレビ市場は倍増の伸びを示しており、その半数を32インチの液晶テレビが占めている。その中で当社は市場シェアを通常期の6%から10%超にまで伸ばした」と話す。

 W杯景気については、「開催国だけに早くから来るぞ、来るぞと期待していたものの、なかなか来なかった。強気の販売目標を立てていただけに、一時は在庫調整を行うほどだったが、大会直前になって急速に立ち上がった。もちろん公式スポンサー効果からか、当社製品の指名買いも目立つ」という。

 さまざまな側面でオフィシャルITパートナー効果が現れている東芝だが、関係者の中には「間接的な投資金額も含めた精査を行うと、本当に投資した価値があったかどうかはあやしい」という慎重論も根強い。

 一方、今秋で契約が終了する東芝と入れ替わる形で、ソニーが2007年から2014年の8年間(2010年の南アフリカ大会と2014年の南米大会の2大会)について、さらに高額な330億円という契約金でFIFAとオフィシャルパートナー契約を締結した。カテゴリーは新設された「デジタルライフ」で、エレクトロニクスからエンターテインメントまで幅広い事業領域を包括する。

 前回の日韓大会の終了後、それまで6大会連続でオフィシャルパートナーを務めてきた日本ビクターは「投資コストに見合う効果が得られない」との理由からFIFAとの契約を打ち切った。果たしてソニーに勝算はあるのだろうか?

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