Linuxの牙城を崩す――MSのHPCへの挑戦(2/2 ページ)

» 2006年07月13日 07時00分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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広範なアプリケーションサポート
 Fluent、Livermore Software Technology、MathWorks、Schlumberger、Wolfram Researchなど、HPC市場をターゲットにしたアプリケーションを開発するベンダーの多くは、CCSをサポートする考えだ。一方、CCSはExcel 2007の新しいサーバ機能をサポートし、計算集約型アプリケーションの負荷を1台のデスクトップからCCSが稼働する複数のノードに分散することが可能だ。

慣れ親しんだ開発環境
 Microsoft Visual Studioは、複数のノードにまたがって並列的に実行するアプリケーションのデバッグが容易な、並列デバッガを含んでいる。このデバッガは、HPCアプリケーションの開発者がプリントステートメントを埋め込み、実行時にアプリケーションの状態と変数の値を表示させながらデバッグするような場合、インスタンスの数を減らすことができる。

リリースのタイミングが問題

 CCSはWindows Serverの2つのメジャーエディション、すなわちWindows Server 2003と“Longhorn”の中間でリリースされるため、CCSの最初のエディションにはまもなくリプレースされる旧態化した技術がいくつか用いられている。出荷が2006年であるにもかかわらず、このエディションの名称がCCS 2003となっているのは、基本的にWindows Server 2003のx64コード(Windows Server 2003 SP1のアップデートをすべて含む)をベースとしているからだ。

 MicrosoftはCCSの配備にRISをプロモートしているが、RISはWindows Vistaの出荷(2006年末)とともに新開発のWindows Deployment Serviceにリプレースされる。WDSは新しいイメージベースのインストレーションフォーマットとツールを利用しており、RISとバックワードの互換性はない。

 加えて、CCSのコマンドラインインタフェースは、Windowsとサーバアプリケーション向けに強化されたコマンドラインとスプリクティングインタフェースを提供するPowerShell(Monad)をベースとしていない。2006年末にリリースが予定されるPowerShellは、コマンドライン、スクリプティング、そしてグラフィカルインタフェースまで含め、Microsoftのアプリケーションで管理タスクを実行するときの中核的なメカニズムになる。PowerShellは今後、Microsoftの主流スクリプティング環境になるため、ユーザーがCCSの現行インタフェースでスクリプトを作成することは、それほど多くないだろう。

 Microsoftの研究開発を進めている分野の1つで、HPCコミュニティに広く利益をもたらすと考えられるのは、アルゴンヌ国立研究所で開発されたポピュラーなジョブスケジューリングインタフェース、Message Passing Interface-Channel 2(MPICH2)への投資だ。CCSのMPI実装はMPICH2オープンソースコードをベースにしており、それはMicrosoftがこのインタフェースに加えた変更がオープンソースコミュニティにフィードバックされることを暗示している。

販売チャネルと予想価格

 Windows Compute Cluster Server 2003 のボリュームライセンス販売チャネルにおける予想価格はノードあたり469ドルだが、実際の価格はライセンスやボリュームディスカウントの内容しだいで異なる。CCSのライセンス契約は計算専用サーバとして用いられるコンピュータのみに制限される。クラスタヘッドノードをデータベースサーバとして利用するなど、他の目的でノードを使用したいユーザーは、それらのノードにWindows Server 2003 x64 Editionの適切なバージョン(Standard、Enterprise、またはDatacenter)を購入する必要がある。

 Microsoftでは今回、自動車、生命科学、石油ガスなど、HPCに注目する主要産業別に専門の販売スタッフを投入する計画だ。

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