DiamondCluster Internationalの最近の調査によると、アウトソーシングは成熟期を迎えようとしているようだ。アウトソーシング市場の最新動向を追った。
シカゴにあるコンサルティング会社、DiamondCluster Internationalの最近の調査によると、アウトソーシングブームは去り、この分野は成熟期を迎えようとしているようだ。
ブームが一段落した背景には、顧客企業が経験を積んで知識が豊富になり、アウトソーシングプロバイダーに委託する業務を厳しく選別するようになったことがあるという。
また、アウトソーシングプロバイダーの仕事に満足できないために利用を手控えているという企業もあるようだ。
DiamondClusterでアウトソーシングアドバイザリサービス主任を務めるトム・ウィークランド氏は、「異常終了の傾向は収まると予想していたが、解約率はまだ非常に高い」と述べている。異常終了とは、予定された契約満了期日以前に顧客が契約を破棄するケースを指す。
特にオンショア(国内)プロバイダーとの契約の中途解約の傾向は、今後も衰えることがないだろう、と同氏は指摘する。
調査によると、回答企業の47%が、過去12カ月の間に少なくとも1件のアウトソーシング契約を中途解約したと答えている。
少なくとも1件のオフショアアウトソーシングを中途解約した企業は27%に過ぎなかったが、オンショアアウトソーシングを解約した企業は42%に上った。オンショア契約を解約した企業のうち53%が、プロバイダーの仕事に対する不満を理由に挙げた。
また、オンショアプロバイダーが料金に見合った価値を提供しているか疑問だとする企業もあった、とウィークランド氏は語る。
「オフショアとの比較でオンショアに対する否定的な見方が強まっている。オンショア契約を解約してオフショア契約に切り替える企業が増えている」(ウィークランド氏)
同氏によると、オフショアプロバイダーの人気が高まっているのは、コストが大幅に低いのに加えて、CMMIなどの認定を売り物にできるようになってきたからだという。
プロバイダーに対する不満は、アウトソーシング支出の全般的減少傾向につながっている。2004年のDiamondClusterの調査では、アウトソーシング支出を削減すると答えた企業は皆無だった。しかし今年の調査では、回答企業の9%が支出を減らすとしている。ただし、大半の企業は引き続き支出を増やすと答えている。
今年の調査の結果は、DiamondClusterが1年前に実施した調査とも呼応している。前回の調査では、入札価格が低いプロバイダーを選んだ企業の間で不満が高く、中途解約率も高かった。
ウィークランド氏によると、昨年の調査では、多くの企業がオフショアアウトソーシング先として中国を真剣に検討していたが、その傾向は今年も続いているという。
しかし今年の調査では、オフショア地域としてカナダに対する関心が高まっていることも明らかになった。また、東欧が中国に次いで2番目に成長著しい地域として浮上した。
アウトソーシング市場は全般的に低迷傾向にあるものの、ウィークランド氏によると、米国のITマネジャーはアウトソーシングに適応しつつあり、特定のIT業務について個別に契約するというのではなく、次第に総合的な企業戦略としてアウトソーシングを利用するようになってきたという。
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