ネットワールド、VMwareとも補完し合うSolarisアプリの「翻訳」ソフト

ネットワールドは、米Transitiveが開発した汎用エミュレータ「QuickTransit」の国内販売を開始する。

» 2006年07月18日 22時45分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「われわれのテクノロジによって、すべてのアプリケーションをあらゆるプラットフォーム上で動かすことができる」(米Transitiveの社長兼CEO、ボブ・ウィーダーホールド氏)――。

 ネットワールドは7月18日、Transitiveが開発した汎用エミュレータ「QuickTransit」の国内販売を開始することを発表した。Transitiveの製品のうち、まず「QuickTransit for Solaris/SPARC-to-Linux/Xeon」と「QuickTransit for Solaris/SPARC-to-Linux/Itanium」の2製品から販売を開始する。

 両製品では、Solaris/SPARC上で動作している既存のアプリケーションに手を加えることなく、IAサーバ上のLinux環境で動作させることができる。この結果、アプリケーションのポーティング作業に煩わされることなく「迅速にx86/Linux環境に移行することができる」とウィーダーホールド氏は述べた。

 QuickTransitは、同じく仮想化ソフトウェアの「VMWare」とは異なり、その上でOSそのものが動作するわけではない。言うなれば、アプリケーションの「通訳」のような役割を担う。Solaris/SPARC向けに書かれたアプリケーションの命令語のブロックを読み込み、ダイナミックにx86/Linux用に変換、最適化する。この際、利用される頻度が高い命令についてはキャッシュに蓄積することで、実行時のパフォーマンスを高めている。

 ウィーダーホールド氏によると、「ネイティブアプリケーションとまったく同様に動作し、しかもパフォーマンスはネイティブ環境の80%程度」。XeonやItaniumをベースとしたプラットフォームの性能が高まっていることから、全体的なパフォーマンスはむしろ高くなるとした。

デモ QuickTransit上でSolaris用のグラフィックソフトを動作させるデモンストレーション

 ウィーダーホールド氏は、多くの企業ではTCO削減などを目的に、Solaris/SPARCから86/Linux環境への移行を検討していると述べた。しかし、その最大の障壁となっているのがソフトウェアだ。

 「サポートの優先順位が高かったり、開発チームが解散していたりといった理由により、アプリケーションのポーティングを行う社内組織の確保が難しい」(同氏)。この結果多くのプロジェクトではポーティングが遅れ、サーバ移行プロセスが遅れ、ひいては本来のTCO削減計画とはほど遠い成果しか得られなかった。同社の技術はこの問題を解決するという。

 ネットワールドの常務取締役マーケティング本部長、森田晶一氏によると、QuickTransitが主に対象とするのは、パッケージソフトウェアよりも自社開発アプリケーションだという。「パッケージソフトウェアではほとんど移行は終了している。一方、われわれの推測では、国内には、自社開発アプリケーションが稼働するSolarisサーバが少なくとも7万台以上ある」(森田氏)

 また、VMwareと組み合わせることでTransitiveの技術がさらに生きるとも述べた。「VMwareの上でSolarisのアプリケーションを動かしたいという相談も実際に受けている。QuickTransitによってそれが可能になった」(同氏)

 両製品とも、V8、V8+、V9のすべてのUltraSPARC命令セットに対応しており、Solaris 2.6以上のアプリケーションを、RedHat Linux AS 4とSUSE Linux Enterprise Server 10で動作させることができる。価格はCPUソケット単位で設定されており、1年間の使用ライセンスとサポート、保守価格は21万円。9月末より出荷を開始する。それに先立つ7月末にはβ2を公開する予定だ。

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