IBMおよびダッソー・システムズはPLMソリューションによって企業の製品開発を支援することを紹介するイベント「2006 JCF」を都内のホテルで開催した。
PLMソリューションを展開するIBMおよびダッソー・システムズは7月18日から2日間にわたり、両社のPLMソリューションによって企業の製品開発を支援することを紹介するイベント「2006 JCF」を都内のホテルで開催した。両社の提携は、マーケティングや導入などをIBMが担当、3次元CADやコラボレーションソフトウェアなどのPLM製品を主にダッソーが提供するのが基本的な形となっている。会場には、企業の製品開発担当者をはじめ、多くの来場者が訪れた。
フランスのDassaultで社長兼CEOを務めるベルナール・シャーレス氏は冒頭、「25年前の会社設立時に10名だった従業員が、今は7000名にまで増えている」と話し、同社の成長を振り返った。一方で、その成長がIBMとの強力なパートナーシップに支えられていることも繰り返し強調している。
さらに同氏は「Dassalutの株のうち52%は今もわれわれが持っている。そのため、PeopleSoftやSiebelのように買収されることはない。その点でも顧客に安心してDassalutを選んでもらえる」と話した。一方で、「売り上げの26〜30%を研究開発に投資している」ことも注目できる。
トヨタ自動車や本田技研といった自動車メーカーの製品開発の現場に利用されていることも、Dassalutの信頼性を高めており、6月に買収したMatrixOneが、General Electricなどの多数のユーザーを既に持っていること、こうしたユーザーベースを自社の顧客として加えることのメリットも大きいといえる。
一方、米IBMもDassaultとの提携関係に強いコミットを示している。IBM PLM APディレクターを務めるクリストファー・バー氏は「市場状況が混沌としてきており、技術に関連するビジネスの状況が変わってきている」と話し、それに対応できる柔軟なシステムが製造業の製品ライフサイクルの最適化に必要としている。
同氏は市場状況の変化として具体的に、コスト削減や効率性改善を重視するビジネスモデルが、利益の確保へと方向性を変えていることを挙げた。また、PLMの役割としてユーザー企業がとらえる範囲が、製品設計のみといった従来のイメージを脱して、サービスや製品の創出から仕様決定、保守、廃棄に至るまで、本当の意味で製品のライフサイクル全体にわたっていることも指摘している。
この日、クリストファー氏が強調したのは、将来的にIBMはSOAをベースにしたPLMソリューションを展開するという構想があること。一般に、現状のユーザー企業のPLM環境は、ローカルデータ管理にENOVIA、オーサリングアプリケーションにCATIA V5といったDassault製品だけが動いているわけではない。Windchillなどの他社製品も稼働しており、それぞれがサイロ化されてしまっているという。
一方で、IBMが示した構想では、さまざまなシステムが混在するデータマネジメント層を、SOAにおけるバスのイメージで統合して仮想化させる。そこから、製品設計者や技術専門家、プロジェクトマネジャーなど、担当者が「役割ベース」のユーザーインタフェースを構築し、それぞれの立場から最適なPLM環境を構築できるようになる。
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