従来は企業間、部門間の異なるシステム間連携については、EAI(enterprise application integration)による個別連携、いわゆる「密結合」が主流であったが、今後は、より変化に柔軟な連携を実現するため、Webサービスによる標準化された「疎結合」も必要になってくる。
また、基盤としては、標準技術とされているJ2EEや、マイクロソフトの.NETを採用するのが良いと考えられている。業務プロセスに基づいたワークフローにより、既存のサービスや新しいサービスをつなぎ、アプリケーションの再利用を実現可能とする変化に柔軟な企業体質を実現させるITインフラを構築することが重要なのである。
上記、基盤上で必要とされる、PLMに必要な個別機能は以下のとおりである。
PDMを中心とする機能
まずPDMを中心とする機能を挙げる。ここには、全製品および全プロセスの情報を集約するグローバルのナレッジデータベース、図面・文書等の製品設計データ管理、データ属性とファイル本体の格納場所をリンクさせる機能、部品の属性検索機能や文書の全文検索機能など、BOM(部品表)管理、設計変更管理、ワークフロー管理、流用設計のベースとなるテンプレート機能などが含まれる。
プロダクトポートフォリオマネジメント
プロダクトポートフォリオマネジメントには、日々の作業管理を支援するデザインレビューや承認のワークフロー機能であるプロジェクトマネジメント、プログラムマネジメント(プロジェクト全体のステータス管理)、製品のライフサイクル毎の収益性の管理機能、ポートフォリオ管理(プロジェクトトレードオフ分析)機能など。
コラボレーティブ製品設計
コラボレーティブ製品設計の実現には、CAD環境周辺の戦略的ワークフロー、視覚化、改善、およびその統合が含まれる。
カスタマーニーズマネジメント
製品開発・設計プロセスに活用するために、包括的かつ合成された顧客データを分析する機能。
コンポーネントサプライヤーマネジメント
部品表構築段階からサプライヤーと協業を行う戦略的購買機能。
CRM、SCM、ERPとの連携機能
ここには、CRMとの情報共有、顧客の要望を製品企画、設計段階での設計へ反映、色、素材等を顧客のニーズに合わせて、機能の絞込みを実施する機能、クレーム対応の早期化、3次元データによるクレーム情報の正確な把握、部品表との照合による不具合の早期切り分け、リコールの可能性や次期製品への課題登録、SCMとの情報共有、製品企画段階における需要見込みの早期連携、設計仕様・数量情報に基づく早期手配、SCM側からの価格、品質、生産性の優位性な推奨部品のフィードバック、サプライヤーとのコラボレーション、M-BOM(製造BOM)、ERPとの情報共有、製品ライフサイクルを通じての実績コスト管理および原価管理が含まれる。
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