「インターネット」を甘く見ない会社の取り組み(5/5 ページ)

» 2006年07月21日 00時00分 公開
[小林 功,ITmedia]
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2次選定 (簡易プロトタイプ評価)

 1次選定で決定したパッケージに対して、導入実績を有するシステムインテグレーターによるコンペ形式でパッケージおよびシステムインテグレーターを同時に決定する方法を実施。決定基準としては、導入先の企業で要求される機能要件についてプロトタイピングを行い、フィット&ギャップ分析を点数(定量)化し、得点及び開発費用見積に基づき導入パッケージを決定。実施事項は以下の通り。

  • 2次評価用のRFPの作成/簡易プロトタイピングの実施/RFP・簡易プロトタイピングの評価。

評価の視点

(1)製品機能:RFP回答、およびプロトタイピングにより要件定義を実現するために必要な機能をパッケージがどの程度、有するかを評価する。

(2)システムインテグレーター実績:いままでの導入実績、開発経験、認定者数、企業概要をベースに評価を実施する。

(3)ソリューション能力:RFPのフィット&ギャップに対する回答内容によりパッケージ製品熟知度、ソリューション能力を評価する。

(4)開発方針:1.パッケージ製品に依存する、使用言語、製品構造による生産性と開発支援ツールの提供による生産性と、2.システムインテグレーターに依存する、パッケージ製品の標準機能では対応できないADDON部分における開発力の2点が主な評価対象となる。1.の製品本体については、開発支援ツールの汎用性により生産性を評価する。2.のGAP部分に対するADDON開発ついてはパッケージ導入経験および開発言語知識が重要なポイントとなる。導入経験者、開発経験者、およびパッケージ認定者数から判断すると開発力を評価する。

(5)インフラ構成:クラスターリングによる安定稼働の観点、集中管理、分散管理等、複数拠点、複数のサーバによる構成のパフォーマンスおよび運用方式を評価する。

(6)トータルコスト:RFP回答から提示されるイニシャルコスト(ソフト、ハード、開発費全般)、ランニングコスト(ソフト保守費、ハード保守費)を比較し、トータルコストの評価を行う。

(7)サポート:サポート体制、拠点、スキルの観点から評価を行う。パッケージベンダーについては、今後の製品開発をスピーディに対応するための体力が必要となる。システムインテグレーターについては、開発体制および、稼働後の保守体制の維持が重要なポイントとなる。

 ベンダーサポートには開発段階のサポート(開発支援体制)、本稼働後の運用段階のサポート(運用支援サポート)の2面が有る。開発面でのサポートは、プロジェクトの期間内の完成を実現する為の重要な項目であり、開発体制に疑問があるものは、プロジェクトの期間的リスクを高めるファクターとなる。運用面でのサポートは、本稼働後の運用における信頼性の維持、トラブル対応の体制が重要となる。長期的なシステムの安定を検討するためベンダー自体の信頼性も重要な評価基準であると考える。保守拠点数、保守人員数、グローバル展開については、海外拠点の存在も重要な要素となる。

 最終決定においては、プロジェクトメンバーによる合議性を実施した。実際に実機評価、デモ、プレゼンに参加したプロジェクトメンバーにて、今後、一緒に導入するパートナーとなるシステムインテグレーターの決定および目的を実現するために必要な製品を決定することが重要であると考える。

 最後に、PLMは、製品ライフサイクルに関連するすべてのフェーズ、関連する企業、ユーザーニーズ、市場動向を通じて、製品の売り上げと利益を分析し、今後の設計、生産、販売活動へ展開する経営戦略ツールとなる。市販のパッケージを導入すれば、実現できるものではない。各企業の戦略、業務プロセス、業務フローを検討し、経営視点のしくみをPLMツールで構築することが必要となる。

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