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» 2006年07月27日 08時00分 公開

Linuxの最新動向リポート:Ottawa Linux Symposium:1日目 (1/4)

Linuxの最新動向を知りたければ、今やLinuxWorldよりオタワLinuxシンポジウムの方がいいのではないかと思わせるほど、今年のOLSも有意義なものとなったようだ。

[David-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 7月19日、カナダの首都オタワにあるOttawa Congress Centreにおいて、今年で8回目を迎えるオタワLinuxシンポジウム(OLS)が始まった。最初の講演は、Linux Weekly Newsの共同設立者ジョナサン・コルベット氏による「カーネル・リポート(The Kernel Report)」で、昨年からの現在までのカーネル開発の状況が報告された。

 コルベット氏の講演は、Linuxカーネルの開発プロセスの概要を説明するところから始まった。現在、Linuxカーネルは2〜3カ月のサイクルでリリースされているという。カーネル2.6.17.6が現行バージョンで、近々2.6.17.7がリリースされる。2.6.xと記されるバージョンはメジャーリリースを、2.6.x.yという表記はバグ修正に伴うリリースを表している。

 カーネル2.7がリリースされる見通しはまだなく、すべてを作り換えるような大きな変更が生じて、カーネルツリーが不安定なものになるまでは登場しないだろう、とコルベット氏は話している。

 今のところ、カーネル開発者たちはメジャーリリースの間隔を約8週間としている。最初の週では、いわゆるマージウインドウにおいて新しい機能がカーネルに追加される。通常、この作業は数千ものカーネルパッチという形として現れる。Linus Torvalds氏がこれで十分と認めた時点でこのプロセスは終了し、マージウインドウのクローズが宣言される。

 続いて、カーネルはリリース候補モードに移り、安定化とバグ修正の作業が行われる。リリース候補(-rc)カーネルのリリースは一定期間ごとに行われ、名目上は8週目(普通は少し遅れる)までにメジャーリリース版がリリースされる。それ以降にカーネルに対して行われたバグ修正とパッチはすべて、2.6.x.yというバージョン番号でリリースされる。

 このマージウインドウのプロセスは1年前に開始され、その結果、安定したカーネルのリリースが以前よりも見込めるようになった、とコルベット氏は話している。新しい機能が何年も待ち状態になることなく短期間で登場し、各種ディストリビューションでもこれまでより現行に近いカーネルを採用するようになっている。

 コルベット氏は、カーネルパッチ数の時間的推移のグラフを提示して、マージウインドウを用いたリリースサイクルのおかげで、カーネルに適用されるパッチ数の変化がいくぶん直線的だったものから階段状になってきたことを示した。

 ほとんどの人々はこの新しいリリースサイクルの優秀さを喜んでいる、と話しながらもコルベット氏はこの「ほとんど」という部分を強調する。新しい機能に重点を置き過ぎてカーネルの品質が低下しており、実際には発見された数以上のバグが残っている、という見解の人々がいるというのだ。

 カーネルのバグのはっきりした数は分からない、とコルベット氏は話している。ユーザー数が増えるにつれ、バグ報告の件数も増えているそうだ。例えバグの比率(コード1000行当たりのバグ数)が低下しても、コードの大規模化はバグの増加につながる。

 コルベット氏によると、修正されているバグの多くは、非常に古いバグだという。最近、修正されたセキュリティのバグ2件のうち、1つは1年前に、もう1つは3年前に作られたものだった。バグが減ってカーネルの不具合を1つのバグデータベースで集中管理できるようになるのが理想だが、現在はその途上にあるとコルベット氏は考えている。また彼は、バグの修正を行わないならバグトラッキングはあまり役に立たない、と指摘している。

 カーネル開発者たちの手元にはバグ修正に必要なハードウェアがないことが多いため、バグ修正のプロセスでは手間をかけてテストを何度も繰り返さなければならないことがある。なかなか進まないこのプロセスにテストチームが音を上げ、カーネルにバグが残されることもあるという。

 コルベット氏によると、もう1つの問題は、バグの修正に関心を示す企業がそのためのリソースを投入しない限り、バグの修正を指示する人物がいないことだという。また、カーネル開発者たちも自分の担当箇所を放っておくことを心残りに感じているようだ。

 最初の段階でバグを作り込む可能性は減りつつある、とコルベット氏は述べている。より優れたAPIの登場と自動バグ検出ツールの利用によって、状況が改善されているのだ。Linuxカーネルのメジャーリリースでは機能の追加ではなくバグの修正に厳しい目を向けるべきだという声もある。また、カーネルのバグマスターという役割を設置しようという提案もある。この地位には資金を与える必要があるだろう、と彼は述べている。

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