Ottawa Linux Symposium3日目:NFS、USB、AppArmor、LSBの話題Linuxの最新動向が一目で分かる(5/5 ページ)

» 2006年07月31日 08時00分 公開
[David-'cdlu'-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Linux Standard Baseの最新情報

 3日目に出席した最後のセッションは、毎年恒例のLinux Standard Baseに関する最新報告で、マッツ・ビッヒマン氏によるBOFセッションの形で進められた。

 ビッヒマン氏によると、昨年のOLS以降、Linux Standard Baseバージョン3.1が2回に分けてリリースされたという。まずLinux Standard Base(LSB)のコア部分が2005年の11月に、続いてモジュール群が2006年4月にリリースされた。2つに分けたのは、国際標準化機構(ISO)が定めるISO仕様の最終期限に間に合わせるためだった。

 ISOに関与した結果として、現在、LSBには2つの流れが存在する。1つはLSBプロジェクト自身が比較的頻繁に更新を行うバージョン、もう1つがISO向けの仕様である。これら2つの仕様は本質的には同じものだ。

 ISO仕様は、主として、テクノロジーに対する請け負い入札の公告時に、行政機関がISO準拠の規格として要件に指定できるようにするために存在する。このLSB仕様は、ISO標準23−660として定められている。

 LSBのドキュメントは、Free Documentation Licenseとして公開されているが、ISO側でも同機構の方針の下で公式な標準規格として保持できるように、事実上はデュアルライセンスされたドキュメントになっている。

 ISO版のLSB標準を最新の状態に保つのはどれくらい困難か、と質問されたビッヒマン氏は、確かにその点は気になっている、と答えた。例えLSBプロジェクト自体に進展があっても、ISO仕様の詳細はいつでも変更できるわけではない。ISO仕様は、不定期に正誤表を提出することで最新の状態を維持できるが、ISO仕様の更新サイクルは約1年半である。その結果、必然的にISO仕様はLSB仕様に後れを取ることになるのだ。

 続いて、誰がLSBの認証を行うのか、という質問が出た。それで見返りが得られるなら、LSB準拠のディストリビューションまたはソフトウェアパッケージの認証に経済的関心を持つどの企業でも行える、とビッヒマン氏は答えた。建前上は誰がどんなソフトウェアの認証を行っても構わないため、例え実際の認証プロセスを経験したことがなくても、企業がソフトウェアを規格に準拠させることができない理由はどこにもない、と彼は述べている。

 標準規格への適合性の検証方法と、その検証にかかる時間についても質問があった。適合性の検証が自主的に行われていることをビッヒマン氏は認めた。試験所で実施すると高額な費用がかかるが、ツールをダウンロードして適合性の検証対象であるソフトウェアに対して実行するのは誰でも行える。検証テストは、エラーが出なければ1日で十分に完了できる。もちろん、エラーが発生すればさらに時間がかかる。なお、認証を受けるには、検証テストのログを提出する必要がある。

 このセッションの途中、LSBの役割は、程度の差こそあれ、受動的なものだと述べられていた。LSBは、世間一般で標準になっていない標準規格を求めているわけではない。例え標準規格として採用されているものよりも優れた規格が存在する場合でも、LSBが求めるのはその押しつけではなく、文書化である。

4日目に向けて

 OLSの最終日には、グレッグ・クローハートマン氏による基調講演などが予定されており、刺激的な1日になることは間違いない。ぜひご期待いただきたい。

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