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» 2006年08月01日 08時00分 公開

生活経済におけるデジタル化の諸相1[購買プロセスと情報] 第1回:「買い方」だけではない消費行動の革新 (1/2)

このシリーズでは、新世紀情報社会における生活者の経済活動について考えることにする。まずは、購買プロセスの側面において。

[成川泰教(NEC総研),アイティセレクト]

 インターネットが生活者に広く普及するとともに、消費や貯蓄のような経済活動においてデジタル化は着実に浸透している。その変化の本質は、それらの活動がさまざまな情報に基づいて行われているが故に、そうした情報がデジタル化され、ネットワークによって自由に流通する仕組みが整備されることで、これまでは考えられなかったことが可能になっていることにほかならない。

 経済活動における情報のデジタル化は、大まかに次の3つの諸相に分けることができる。

1.注文やその履歴など商品の売買に際しての具体的な手続きのデジタル化

2.仕様や価格・外観・イメージ・評判など商品やサービスにまつわるさまざまな周辺情報のデジタル化

3.商品の対価として流通する貨幣(マネー)のデジタル化

 新世紀情報社会(※1)の入り口である現在、これらの諸相の革新が急速に進展するとともに、それらが複雑に絡み合って従来にはなかった全く新しいスタイルの経済活動が生まれつつある。

 このシリーズでは@とAの領域を中心にその現状を概観しつつ、現代の生活者の経済活動におけるデジタル化について考えてみる。また、その成熟のころ合いと今後重要になると思われる新たなトレンドについても考えてみたいと思う。

消費スタイルとして確立したEC

 個人消費におけるEC(電子商取引)の実体については、必ずしも正確な状況が把握されているわけではない。わが国については、経済産業省とECOM(次世代電子商取引推進協議会)による2004年度の市場規模の推計として、いわゆるBtoC領域でおよそ5.6兆円(前年比28%増)という数字が知られている(下グラフ1参照)。消費全体に占める比率を表すEC化率は2.1%と発表されており、規模および消費全体の比率の双方においてその数は一貫して拡大を続けている。市場規模については、ECの定義によって多少議論の余地はあるものの、拡大傾向にあることは楽天などインターネット販売にかかわる事業者の実績に比較しても、妥当なトレンドであると考えられる。

グラフ1◎日本のBtoC――EC市場規模とEC化率の推移(経済産業省・次世代電子商取引推進協議会「平成16年度電子商取引に関する実態・市場規模調査」を基に作成)

 狭義の意味でのECは、先に挙げた@の情報がネット上でやりとりされるところから始まった。当初は、インターネット利用に関連したパソコンやそのソフトウェアなどの購入が半分以上を占め、利用者も男性が中心であったが、その状況はいまや一変してしまったのは周知の通りである。

 筆者自身も日常においてECへの依存度がかなり高い生活を送っている。音楽や映像のソフト、書籍、旅行関係の予約、金融手続き、そして衣料品の購入については、そのほとんどをECで済ませている。当初、食品や衣料品などはECの対象としては限定的なものにとどまるという見方も多かったが、結果的には、それらの領域においてECが本格的に普及したことが、EC市場全体の急成長に拍車をかけることになり、カタログ通販やテレビ通販など従来型の通販市場全体をも押し上げることになった。その拡大は現在もなお続いており、EC化率がどの程度まで上昇していくのか、だれも明確な見通しを出し得ない状況にある。

※1 筆者による定義。詳細は「インターネットサービスが拓く新世紀情報社会 第1回:ヤフーがけん引するメディア融合への流れ」参照。

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