Sybari買収から1年、MSのウイルス／スパム対策製品がようやく登場（2/3 ページ）

[Peter Pawlak，Directions on Microsoft]

Antigen Spam Manager
　Antigen for ExchangeとAntigen for SMTP Gatewaysのアドオンで、スパムと判断したメッセージを検出、削除する。Microsoftでは、Antigen Spam Managerのスパムフィルタリング機能は、Exchange 2003に付属する無料のIntelligent Message Filter（IMF）より先進的だとしている。

Antigen Messaging Security Suite
　上記3製品をバンドルした製品。

Antigen Enterprise Manager
　Antigenサーバ製品を一元管理できるブラウザベースの管理コンソール。サーバを個別に管理できるコンソールは各製品に付属するため、必須ではない。

　Microsoftでは、買収した製品を自社ブランドで発売する前にセキュリティ開発ライフサイクル（SDL）プロセスを通して安全対策を施しており、Antigenの新バージョンについてもSDLプロセスによってさまざまな修正が加えられているという。

　Antigen製品は、すべて複数のスキャンエンジンを搭載している。Antigen for ExchangeとAntigen for SMTP Gatewaysは、Microsoftの新しいアンチウイルスエンジン（GeCAD買収で取得）に加え、CA Vet、CA InnoculateIT、Norman Data Defense、Sophosの各エンジンを搭載し、Antigen Spam ManagerはMail-FiltersのSpamCureを搭載する。ユーザーはスキャンエンジンを独自にインストールすることはできないが、Antigen Messaging Security Suiteを購入すれば、さらにAhnLab、Authentium、Kaspersky Lab、そしてVirusBusterのスキャンエンジンも入手できる。Antigenは自動的に各エンジンを最新バージョンおよび署名ファイルにアップデートする。なお、Microsoftが受け取ったAntigenライセンス料の一部は、スキャンエンジンベンダーへ支払われる仕組みだ（Microsoftでは珍しいケース）。

　新製品にはMicrosoftのラベルが付けられるが、管理コンソールに他のMicrosoft製品の管理コンソールのようなルックアンドフィールはなく、Microsoft管理コンソール（MMC）のスナップインとして実行することもできない。

　無料のAntigen Management Pack for Microsoft Operations Manager（MOM）2005を利用すれば、Antigen for Exchange、Antigen for SMTP Gateways、そしてAntigen Spam Managerを実行するサーバを監視することが可能だ。

　一般に、MicrosoftがSybariなどの小さなソフトウェア会社を買収すると、その会社の製品はMicrosoftのスキルとリソースによって英語から多様な言語に幅広くローカライズされ、市場は格段に広がる。残念ながら、新しいMicrosoftブランドのAntigen製品は英語版のみの販売だ。しかし、いずれもサーバサイドの製品であり、ユーザーが直接やり取りする場面はほとんどないことから、この問題はシステム管理者に限定され、大きな障害にはならないだろう。

価格とライセンス体系

　アンチウイルスやアンチスパム製品は、新しい署名ファイルへの定期的なアップデートやエンジンのアップデートが不可欠であるため、一般的にはサブスクリプションベースのソフトウェアライセンスとなる。Sybariはサブスクリプションライセンス方式を採用していたため、Microsoftも自社ブランド製品で同様の方式を踏襲することにした。