自動更新経由で配布されるInternet Explorer 7.0が醸す物議とは?(1/2 ページ)

Internet Explorer 7.0は自動更新を介して自動配布されるが、企業のIT管理者は自社のシステムへのインストールを無効にすることもできる。また、自動更新サービスはさまざまな物議を醸しており、今回、IEがその対象に加えられることで問題はさらに悪化する可能性もある。

» 2006年08月04日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftのWebブラウザ新版「Internet Explorer 7.0(IE7)」は自動更新(Automatic Update)を介して配布される。自動更新はWindows XPに組み込まれているサービスである。MicrosoftはセキュリティフィックスなどWindows向けの各種のアップデートを、この自動更新サービスを介して配布している。

 「重大」なセキュリティアップデートの場合は、ユーザーへの通知なしに強制的にインストールされるよう設定できるが、IE7は「優先度の高い」アップデートとして位置付けられ、インストールの際にはユーザーによる明示的な同意が必要となる。

 またMicrosoftは企業のIT管理者向けに、自社のコンピュータがこのアップデートを受け取らないようにするためのツールセット「Blocker Toolkit」を提供している(関連記事)

セキュリティ強化とUIの変更

 IE7は、2001年以来初めてのMicrosoftのWebブラウザのアップデートとなる。IE7では、ActiveXコントロールに関する新しい制限やフィッシングフィルターなど、多数のセキュリティ強化が施されている。自動更新を介してIE7が配布される際には、アップデートが可能である旨がタスクバーを介してユーザーに通知され、ユーザーはすぐにインストールするか、後でインストールするか、インストールしないかを選択できる。

 このアップデートをインストールするためには、ユーザーのシステムがMicrosoftのWindows Genuine Advantage(WGA:正規Windows推奨プログラム)Validationによるチェックをパスする必要がある。なお、ツールバー、ホームページ、検索の設定はそのまま新版に引き継がれる(IE7のアップデートはWindows Update Webサイトからも入手できる)。

 だが、IE7は単なるセキュリティパッチではなく、メジャーアップグレードだ。ユーザーインタフェースも変更されているため、慣れるにはある程度の時間が必要かもしれない。また、Cascading Style Sheets(CSS)への対応も変更されているため、これまでのバージョンとは違って表示されるページもあるかもしれない。

自動更新をめぐる論争

 自動更新サービスは既にさまざまな物議を醸しているが、今回、IEがその対象に加えられることで問題はさらに悪化する可能性もある。「Windowsに新しいコードやアップデートをインストールすると、予期せぬ問題が生じることが少なくない」という過去の経験から、多くのユーザーは「壊れているわけではないのならば、修正はしない」との姿勢をとり、よく知られた脆弱性を修正するアップデートのみを望むようになっている。

 だが、Microsoftは自動更新では、「パッチのみ」のオプションを提供していない。つまり、ユーザーはMicrosoftが「重大」と分類した要素をすべてインストールするよう登録しておくか、さもなければ、アップデートを1つずつ手作業で確認し、パッチなのか、もっと重要なアップデートなのかを判断しなければならない。なお、自動更新が無効になっている場合、今後、緊急の問題については「Windows Live OneCare」などのツールによって通知されるようになる見通しだ。

 Microsoftはこれまでに自動更新を介して幾つか「重大」なアップデートを提供してきたが、その際、それが基で余計な問題が引き起こされたり、あるいは、そもそもセキュリティ上の問題の修正が目的でなかったものがあったりしたため、自動更新の役割と有用性を疑問視する声が高まっている。

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