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» 2006年08月08日 07時00分 公開

激化するSalesforce.comとの戦い、CRM Liveでホスティング市場に参入

Microsoftは2007年後半に「CRM Live」を携えてCRMホスティングサービス市場に参入する予定だ。Salesforce.comとの戦いの火蓋が落とされることになるが、同時にパートナーとの軋轢が生じることになるかもしれない。

[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftは2006年7月に開催されたWorldwide Partner Conferenceにおいて、2007年第2四半期にCRM(customer relationship management)ホスティングサービス「CRM Live」を提供することを発表した。これで、Salesforce.comとの戦いの火蓋が切って落とされることになる。CRM Liveは、2007年前半にリリースが予定されているDynamics CRMの次期バージョン(コード名:Titan)を基盤に開発される。

 今回発表をリリースの1年前に行ったことで、潜在カスタマーがCRM LiveのリリースまでCRMサービスの導入を見送るようになり、Salesforce.comの勢いをそぐことができているかもしれない。ただし、現在Dynamics CRMのホスティングサービスを提供しているMicrosoftのパートナーも同様の打撃を受けている可能性がある。

“マルチテナンシー”をサポート

 CRM LiveをDynamics CRMの次期リリースTitanを基盤に開発することで、Microsoftは現在のバージョン(Dynamics CRM 3.0)を使用しているサービスプロバイダの前に立ちはだかっている壁を取り除くことができる。この“壁”というのは、プロバイダ(MicrosoftのパートナーActiveIS、CRM OnTarget、Navisiteを含む)が、複数のカスタマーを同一サーバ上に安全にホストすることができないことである。

 このため、カスタマーごとに専用のサーバハードウェアを用意する必要があり、複数のカスタマーを共有ハードウェアにコンソリデートする場合よりも運用コストがかかる。繰り返し定期的に料金の支払いが発生するホスティングサービスの場合は、この運用コストのデメリットがSalesforce.comとの戦いを困難にしている可能性がある。

 Titanでは、この制限が取り払われる。1台のサーバに複数のCRMカスタマーをホストし、各カスタマーには専用のサービス、リソース、データベースを安全に提供できるようになる(この機能は“マルチテナンシー”と呼ばれている)。マルチテナンシーをサポートすることで、Microsoft(ひいては同社のホスティングパートナー)は、価格面でSalesforce.comと張り合えるサービスを提供しやすくなるはずだ。

CRM Liveのもたらす影響

 MicrosoftがCRMホスティング市場に参入する動機は明らかだ。Salesforce.comが実証しているように、CRM導入の糸口となる低コストのサービスは、複雑な事業用のソリューションを敬遠しがちな小規模ユーザーに対して強い訴求力がある。またMicrosoftは、CRM Liveを自社のCRMソフトウェア製品を基盤にすることで、差別化を狙っている。つまり、ユーザーが必要に応じて、CRMをホスティングサービスから自社で運用・管理するソリューションに切り替える場合も、比較的スムーズに移行できるようになるだろう。

 MicrosoftはCRM Liveをパートナーにとってビジネスチャンスをもたらすサービスとして売り込もうとしているが、パートナーにとってのメリットはいま一つ説得力に欠ける。例えば同社は、カスタムのDynamics CRMアプリケーションを開発しているパートナーは、CRM Liveを新しい展開(デプロイ)オプションとして提案し、小規模カスタマーの獲得に役立てられるとしている。

 しかし、このようなセールスは事業用のDynamics CRMソフトウェア製品の販売と比べて、課金体系的に魅力が劣る可能性がある(例えばパートナーは前金の一括払いではなく、分割である期間にわたり支払いを受けることになるだろう)。また、CRM Liveは事業向けのカスタマイズおよび統合サービスビジネスにも打撃を与えると思われる。まだCRM Liveの価格は設定されていないが、価格が決まるまでは、パートナーのビジネス(収益)に与える影響を測ることは難しい。

 MicrosoftのCRMホスティング市場への参入は、現在Dynamics CRMベースのホスティングサービスを提供しているパートナーにとって間違いなく軋轢を生じる。市場にMicrosoftという手ごわい競合が加わるのだ。また今回の早期の発表を受けて、見込み客がMicrosoftの市場参入までCRM導入を見合わせるような動きが出てくる可能性がある。

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