進化するマルチメディアパソコンとノスタルジー温故知新コラム(2/2 ページ)

» 2006年08月17日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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狙いは“一家に1台”

 1989年2月末に登場したCD-ROMドライブ搭載のマルチメディアパソコンである。当時のFM TOWNS の謳い文句は「文字やデータなど符号の世界から、声や音楽、絵や写真の世界へと能力を向上させたハイパーメディアパソコン」。

 今回ご紹介する写真は、そのFM TOWNSのキック・オフ・イベントとなった、1989年3月10日から3日間にわたって富士通が開催した「電脳遊園地IN東京ドーム」のひとコマである。

 先述の新製品発表会の様子と合わせて、写真による“温故知新”を感じ取っていただければ幸いである。

1989年3月10日から3日間にわたって富士通が開催した「電脳遊園地IN東京ドーム」。FM TOWNSのキック・オフ・イベントとなった

 当時、東京ドームはまだ完成して1年足らず。それだけにプロ野球などのスポーツやコンサートならまだしも、まさかパソコンなどの商品展示・実演を行うイベントが開かれるとは思いもしなかった。そんな目新しさも奏功し、3日間の来場者数は予想を上回る18万人を突破。

 会場内には400台を超えるFM TOWNSが並べられ、ビジネスからホビーまで多彩な分野のアプリケーションソフトが一堂に揃い、新しいマルチメディアパソコンの華々しいデビューを一層盛り上げていた。

「電脳遊園地IN東京ドーム」のイベントステージにはFM TOWNSがズラリと並んでいた

 その後、FM TOWNSの売れ行きは、大ヒットするまでには至らなかったが、パソコンとCD -ROMドライブを一体化して表現豊かなマルチメディアの世界を切り開いたことは誰しも認めるところ。それまでパソコンにおけるこの世界は米アップル「Macintosh」の独壇場だっただけに、富士通が国産メーカーとして一矢を放った格好となった。

 そして今、パソコンにはCD-ROMドライブからDVDレコーダーが装着されるようになり、ついにテレビと本格的に融合する時代になった。そうした時代を迎えた背景には、画面の大きさと表示能力という2つの面での大幅な性能向上がある。

 これまでもテレビ機能を搭載したパソコンは商品化されているが、画面の大きさはせいぜい20型ほどで画質もテレビの色作りに比べて劣っていたのは否めない。これでは家庭の居間にデンと置かれたテレビの存在を包含するには、とても十分とは言えない。そうした物足りなさを払拭すべく登場したのが、今回の富士通の32型液晶搭載パソコンである。

 CD-ROM、DVD、テレビ…それぞれの性能向上とともに、組み合わされる格好のタイミングはあるが、こうした動きの底流にあるのはパソコンのマルチメディア化である。16年の時を越えて「進化するマルチメディアパソコン」…そんなノスタルジックな気分をちょっぴり味わっていただきたい。

このコンテンツはサーバセレクト2005年6月号に掲載されたものを再編集したものです。


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