コラム
» 2006年08月30日 10時00分 公開

企業にはびこる「間違いだらけのIT経営」:第10回:システム完成後に問われる経営センスとは(2) (1/2)

今回から2回にわたって生産管理システムを取り上げてみたい。中でも「工程管理」は生産管理の中核に位置づけられる業務だ。「地味で辛い仕事」と言われることの多い工程管理業務を見つめ直すことが、生産管理システムを実効のあるものにするポイントなのだ。

[増岡直二郎,アイティセレクト]

 生産管理の中核を成すものは何か。それは工程管理である。工程管理は狭義の生産管理といわれている。

 しかし工程管理の担当者の間で、「息子だけは工程管理者にするな!」という合言葉が一般化しているケースがしばしば見られる。

 つまりそれほど工程管理は、地味で辛い日陰の仕事と思われているわけである。その実務に携わる人であろうと、外野から見ている人であろうと、そんな合言葉が出るのには何らかの問題があると考えてよい。「息子に誇れる仕事を!」と胸張って言えるように改善を目指すべきなのである。

 工程管理は営業・設計・資材・検査・倉庫などの管理と密接に関連があり、そうした観点から広義の生産管理が定義される。広義の意味で工程管理は視野も広く持つことができ、多少、日の当たるイメージを持つが、工程管理そのものに携わる担当者の仕事は基本的に変わることはない。

 ITを導入する場合も、ともすれば工程管理は軽視されがちだが、ほかの管理に与える影響は多大であることをわすれるべきではない。

 事実、この動態管理が生産管理の成否を握るといっても過言ではない。経営トップはじめ幹部はこのことを認識し、理解しないと、経営を誤る。

 そして辛い困難な仕事を業務改革・IT化で救うことにより、工程管理者が自分の仕事について誇りを持って息子に語れるようにしなければならない。

失敗した導入に知らぬふりを決め込む

 生産管理にITを導入したが、いろいろな理由からうまく稼働しないという例が少なくない。実例を見ながら、生産管理の稼働後の問題と対策を考えて行きたい。

 モーターを製造・販売する中堅企業B社は、受注生産の部分で長年生産管理に根深い問題を抱えていた。

 短納期や割り込みの受注が少なくないこと、部材の納期遅れが頻発すること、不良品の処理誤りや共通部材の流用により在庫が把握できず増加傾向にあること、などの要因から工程管理の担当者は勘と経験に頼りに仕事を進めており、残業が恒常化していること、などなどが問題だった。

 そこでB社は某社のSCM(Supply Chain Management)パッケージを導入し、生産管理改善を期した。しかし導入後もう3年目に入るというのに、問題はいっこうに解決されない。それにもかかわらずトップはじめ幹部、そしてシステム部門でさえSCM導入した時点で一件落着といった気分になっており、ユーザーは既にあきらめて密かにレガシーやローカルのシステムで仕事を進め、無用な経費が発生し続けている。

 しかしトップはじめ経営陣は気づかず、システム部門もユーザーも下手に問題にすると火の粉を被るので静かにしている。

 B社は導入時の姿勢も問題だが、導入後の姿勢もトラブルが目に見えるだけにより問題である。動こうとしない彼らは別にして、ここでは机上で問題点と解決策を探ってみたい。

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