InfoPathはなぜ苦戦したのか?――新バージョンが目指すもの(2/3 ページ)

» 2006年10月05日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 フルクライアントが必要とされるために、InfoPathは企業開発者にとってはブラウザベースのソリューションよりもコストのかかるソリューションとなり、また、多様なOSをサポートしなければならない多くの政府機関プロジェクトにとって、InfoPathはまったく問題外の選択肢となってしまっていた。

バージョン2007は開発者向けのツールに

 InfoPathのバージョン2007では、Visual Studioとの統合を強化することで、開発者に照準が合わせられている。またバージョン2007では、ユーザーはWebブラウザを使ってフォームを入力できるようになり、開発者はInfoPathを使って、SharePointベースのフォーム処理アプリケーションを構築できるようになる。

Visual Studioのサポート

 InfoPath 2003 SP1では、.NET Frameworkのサポートが追加され、開発者はJScript(サポートは継続されている)に依存しなくても、VB.NETやC#などのプログラミング言語を使って、電子フォーム用のコードを記述できるようになった。ただし、開発者はInfoPathを使ってフォームの視覚レイアウトを作成し、Visual Studioを使ってコードを作成しなければならなかったため、その手順が厄介だった。

 だが、Visual Studio Tools for Officeのバージョン2007により、開発者はInfoPathフォームの視覚設計とカスタムコードの両方をVisual Studio内で編集できるようになる。さらに、デバッギングも統合されるため、開発者は使い慣れたVisual Studioツールを用いて、カスタムコードを記述していける。

シンクライアント対応フォーム

 InfoPath 2007では、フォーム入力のオプションとして新たにシンクライアントオプションが提供される。開発者はこのオプションを使って、InfoPathでフォームを設計し(直接か、あるいはVisual Studioを介して)、InfoPath Forms Servicesと呼ばれるサーバコンポーネントを実行するサーバにそのフォームを導入すればいい。そうすれば、ユーザーはInternet Explorer、Firefox、Netscape、Safariなど、各種Webブラウザの最新版を使って、そのフォームにアクセスし、入力できる。

 シンクライアント対応のInfoPathフォームは、途中まで完成したフォームをローカルシステムに保存する機能(オフラインのデータ入力をサポートするため)や、条件付きフォーマット(ユーザーの入力に応じて、フォームのセクションを追加したり削除したりする)など、InfoPathのフルクライアントの大半の機能をサポートする。

 だが、ブラウザフォームでは、InfoPathのすべての機能がサポートされるわけではない。シンクライアント経由では利用できない機能を開発者が把握できるよう、InfoPathフォームデザイナーには、フォームの導入前に非互換性を確認するためのDesign Checkerが用意されている。

SharePointとOfficeでのフォームのホスティング

 さらにInfoPath 2007には、SharePointのカスタマイズに関連した新しい役割もある。InfoPath 2007は、ドキュメント情報パネルの作成に使用できるようになっている。ドキュメント情報パネルとは、文書をSharePointに保存する前に、その文書に関する必要な情報を入力するようユーザーにプロンプト表示する小型フォームだ。

 例えば、従業員がレビューする文書であれば、レビュー用の期間を特定するプロパティが含まれるかもしれない。あるいは、文書をSharePointライブラリに収容する前に、文書の作成者に適切な情報の入力を促したい場合などにも使用できる。

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