InfoPathはなぜ苦戦したのか？――新バージョンが目指すもの（3/3 ページ）

[Greg DeMichillie，Directions on Microsoft]

　以前は、ドキュメント情報パネルはASP.NETを使わなければ作成できなかったが、今後はInfoPathを使って作成できるようになる。パネルはWebブラウザに表示されるか、あるいは、ユーザーがWordやExcelなどのアプリケーションから直接SharePointにアクセスしている場合には、WordやExcel内に直接表示される。

　InfoPathフォームのフィールドは、SharePointの文書ライブラリのほかにも、エンタープライズリソースプランニング（EPR）システム、Webサービスを公開するバックエンドシステム、BizTalkやWindows Workflow Serviceといったワークフロー製品など、各種のデータソースに接続できる。

　またInfoPath Forms Servicesにより、完成したフォームに含まれるデータをこうしたデータソースの内容と同期化することも可能だ。

低調の原因は多数の代替選択肢とライセンス条件？

　InfoPath 2007には開発者にとって魅力的な改善が幾つも施されているにもかかわらず、2つの要因がその採用を鈍らせることになるかもしれない。1つは、InfoPathは電子フォームを構築するための唯一のソリューションではない、という点だ。

　MicrosoftはWindows Formsのほか、AccessなどのOfficeアプリケーション、ASP.NET、そしてこれからリリース予定のWindows Presentation Foundationなど、多数の代替選択肢を提供している。

　さらに、AdobeもPortable Document Format（PDF）をベースとする競合ソリューションを提供している。PDFでは、紙ベースの既存のフォームのレイアウトを正確に再現できるという追加のメリットが提供される。これは、政府機関など、規制の厳しい各種の組織にとっては重要となるポイントだ。

　2つめの要因は、InfoPath 2007ではブラウザベースのフォームがサポートされるため、各エンドユーザーに対してInfoPathのフルクライアントライセンスの購入とインストールが義務付けられることはないものの、それでもやはりInfoPathのライセンスコストは競合他社よりも高くなる可能性があるという点だ。

　企業は、これからリリースされるForms Server 2007製品かSharePoint Server 2007（InfoPath Forms Services機能を搭載する）のいずれかを購入し、InfoPath Forms Servicesのライセンスを取得しなければならない。

　さらに、ユーザーがInfoPath Forms Servicesの機能にアクセスするためには、Forms Serverのクライアントアクセスライセンス（CAL）かSharePoint Server 2007のEnterprise CALを取得しなければならない。

　InfoPathフォームを公共インターネットのユーザーに提供したい企業向けには、External Connectorが用意されている。その場合には、CALは不要だ。ただし、External Connectorsは単独CALの100〜400倍程度のコストがかかるケースがほとんどだ。SharePoint ServerとForms Serverの価格はまだ発表されていない。