Windows Vistaでアクティベーションはどう変わるか(2/3 ページ)

» 2006年10月05日 12時26分 公開
[Per Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは、2種類のボリュームライセンスキーサービスを提供する計画だ。1つはボリュームライセンスKMS(key-management service)、もう1つはMAK(Multiple Activation Keys)だ。

 KMSオプションはユーザーによりホスティングされ、Microsoftとデータをやり取りする必要はない。IT管理者によって管理される単一のキーが提供され、このキーは暗号化されて1台のマシンに保管される。企業内の各マシンが年に2回以上KMSサービスとやり取りするとリンデマン氏は説明する。

 MAKオプションは、年に2回以上ネットワークに接続することがないユーザーや、25ユーザー未満の小さな研究所を持つ企業に適用される。このオプションでは1回だけアクティベートを行い、その際にはMicrosoftの新しいVolume Activation Managementツールが代理アクティベーションを支援するという。

 例えば、1000台のマシンを持ち、KMSを導入しない研究所にMAKを適用するとする。「この施設は明らかに、1000回もMicrosoftと通信したくないと思っている。そこで1台のマシンでこのツールを実行できる」とリンデマン氏は語る。

 「(MAKをインストールした)マシンは1000台のマシンと通信してハードウェアIDデータを収集する。それからこのマシンはMicrosoftと通信して、全マシン用のアクティベーションIDを取得し、それを各マシンに配布してアクティベートする。顧客はこの方法を使って組織全体をアクティベートすることもできる」(同氏)

 Endpointのケイ氏は、IT管理者は自分でアクティベーションや認証を行うか、あるいはMicrosoftに代行してもらえるため、これらの新技術はIT管理者の負担を軽減すると考えている。

 「これは、認証するすべてのクライアントが適切にカーネルの完全性を維持していることを確かめる手助けをする。ファーストレベルの健康チェックだ。元社員の不正なマシンがうろつくのを心配する必要もない。そうしたマシンは6カ月後に無効になるからだ」(同氏)

 リンデマン氏も同意見で、Volume Activation 2.0をテストした顧客は、マシンがKMSと定期的に通信する点を気に入っていたと話す。ネットワークから消えるマシンの問題への対応に役立ち、またマシンが改ざんされたかどうかを確認できるからだ。

 「KMSと通信するたびに行われる改ざんチェックは、Windowsが正規版であり、改ざんされていないことを確認する役に立つ。これによりセキュリティが強化される。MOM(Microsoft Operations Manager)パックなどの管理ツールも提供される。顧客がシステムの健康状態を監視するのに使える報告書を作成する役に立つSMS(Systems Management Server )も統合される」(同氏)

 同氏によると、これらのツールは課金にはまったく関係がなく、Microsoftにはアクティベートされたマシンの台数は分からないという。「これらのツールはオプションであり、当社は報告書作成支援を求める顧客のニーズを満たすためにこれらを提供した」

 またすべてのマシンにはオープンなAPIとWMI(Windows Management Instrumentation)インタフェースが提供され、サードパーティーのツールを使ってキーの保管所を検索し、どのソフトがマシンに載っているかやアクティベーションの状態を調べることができる。

 Windows XPとWGA(Windows Genuine Advantage)プログラムで問題になった(正規版を不正と判断する)誤検出についての質問に対し、ハーチ氏は、WGAとSoftware Protection Programは消費者を保護するという共通の目的を持っているが、技術は根本的に異なっており、同じ問題や苦情が起きることはないだろうと答えた。

 顧客は問題があればサポートセンターに電話できると同氏は言うが、正規版かどうかを確認するアクティベーションの際にこの技術を使うため、「この種の問題が減少すると予測している。問題は起きるだろうし、起きれば対処するが、今のところは今後どうなるのか分からない」と同氏は述べている。

 ケイ氏は、この新技術で顧客の問題は減ると思うかとの問いに、実際にどの程度うまく機能するかによるので、分からないと答えた。だが同氏は、カジュアルコピーはかなり減るのではないかと感じている。

 Microsoftは何年も前から同社のTAP(Technology Adoption Program)の顧客らと協力しており、そのフィードバックの多くは、代理アクティベーションオプションやMOMパックの誕生につながったとリンデマン氏は言う。

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