「すべての業務データとアウトソースデータを統合する」――インフォマティカ

企業のデータは今や組織の境界線を越えて存在し、データはますます断片化しつつある。こうした中、インフォマティカはPowerCenter 8の投入を皮切りに、自身のSaaS化を進め、オンデマンドのデータ統合プラットフォームを目指す考えだ。

» 2006年11月01日 20時14分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 インフォマティカ・ジャパンは10月31日、統合型データインテグレーションプラットフォーム「Informatica PowerCenter 8 日本語版」を発表した。

 都内で開催された発表会では、Informatica会長兼CEOのソヘイブ・アバシ氏、インフォマティカ・ジャパン代表取締役社長の内田雅彦氏が、同製品の説明を行うとともに、同社の今後の展開について述べた。

 冒頭アバシ氏は、昨今の企業で多く見られるデータの断片化について述べた。今や企業のデータは、社内に多数存在するデータサイロだけでなく、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)やSaaS(Software as a Service)などによって組織の境界線を越えて存在しているのが現状で、本当に価値のあるデータがどこにあるか判断が難しくなっていると指摘、それらを統合して扱えるようにすることが、ビジネス上の要求に応えることになると説明した。

アバシ氏 「すべての業務データとアウトソースデータを統合するプラットフォームとなる」とInformatica会長兼CEOのソヘイブ・アバシ氏

 データの統合について、同社の戦略では3つのフェーズに分けて対応していくことになると説明。最初のフェーズでは、業務系データを統合するという。具体的な施策として、saleceforce.comとの連携をプログラムレスで実現するオプション製品「PowerCenter Connect for saleceforce.com」を2007年第1四半期に提供する。続く第2フェーズでは、SaaSやアウトソーシング先のデータなどをオンデマンドで統合するソリューション提供、そして第3フェーズでは、Informaticaの製品そのものがSaaS化することで、オンデマンドのデータ統合プラットフォームとして振る舞うことになるという。

 データウェアハウジングからデータインテグレーションへと目線を向けた同社が戦略的にリリースしたのが、「PowerCenter 8」。グリッドコンピューティングなどの技術を活用するだけでなく、大規模データベース構成において、ターゲットデータベースごとに最適な処理を自動生成することでパフォーマンスの向上を図る「プッシュダウンオプティマイゼーションオプション」などを実装したことで、全社のデータ統合基盤として耐えうる性能と機能を提供できると内田氏は話す。

プッシュダウンオプティマイゼーションのデモでは、500万件のデータロードについて、最適化後は40秒かからずに終えた。最適化前のものは、10分近くかかっている。

 こうした機能を備えたことで、大企業における大規模プロジェクトへの採用を促進したいと内田氏。製品の価格は1400万円から。前述のプッシュダウンオプティマイゼーションをはじめ、主要な機能はオプション扱いとなるが、PowerCenterを導入した企業がいずれもROIで高い経済効果を得ていることを示すリポートなどを紹介し、「PowerCenter 8はコストパフォーマンスでこれまでの10倍の価値を提供する」と新製品を力強く紹介した。国内でも金融関連の業種での導入事例において、COBOLが235人月必要であるところを176人月で、かつ実績値で約17%のバグを削減できたことを明かし、ハンドコーディングによるデータ統合と比較して圧倒的なコストパフォーマンスであることを強調した。

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