バックアップとリカバリのゴールドスタンダードへ――Backup Exec 11d

Symantec Backup Exec 11dでは、さまざまなデータの継続的な保護と、柔軟なリカバリを実現することで、運用管理担当者の負担を著しく下げることに成功した。その自信は、「Windowsデータリカバリのゴールドスタンダード」というキャッチコピーからも見て取れる。

» 2006年11月06日 08時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 「Windowsデータリカバリのゴールドスタンダード」――Symantecデータ・アンド・システム・マネジメント・グループのバイスプレジデントであるディーバック・モーハン氏は11月2日、都内で開催された年次カンファレンスSymantec Vision 2006の場にて、「Symantec Backup Exec」(以下BE)の最新バージョンとなるBE 11dをこのように評した。

 Symantec Backup Execは、中堅・中小企業向けでWindows環境での利用を想定したバックアップ/リカバリソフトウェア。モーハン氏は、「企業にとってITシステムはビジネスそのもの。それがダウンすることは売り上げが落ちることと同義」と述べ、データの継続的な保護ときめ細かいリカバリを提供するソフトウェアこそが、今日のビジネスにおける課題に応えるものであると述べた。

モーハン氏 (製品リリース時のメッセージは)Backup Exec 10が“Windowsデータ保護のゴールドスタンダード”、10dが“ディスクベースバックアップでさらなる進化を遂げた”、そして11dは“Windowsデータリカバリのゴールドスタンダード”であるとモーハン氏。

 BE 11dで特に注力されたリカバリ機能は大きく2つの特徴がある。CPS(Continuous Protection Server)と呼ばれる機能が拡張され、Microsoft Exchange Serverの継続的な保護が可能となったことと、特許申請中の新技術GRT(Granular Recovery Technology)の実装だ。

 CPSは、継続的に変化するデータをそれに合わせた形でバックアップしていくための技術。今回新たに対象となったMicrosoft Exchange Serverについては、初回に1度フルバックアップを作成し、以降はトランザクションログをバックアップすることで、継続的に最新データのバックアップを行う。データの追加や変更はトランザクションログとして即時かつ継続的に残るため、事実上バックアップイウィンドウを排除できることになる。リカバリポイントは最少間隔で15分おきに作成可能。

 これまでも個別のメールをリカバリすることは可能だったが、そのためには全体のバックアップのほか、メールボックス単位のバックアップも必要だった。そのリカバリも非常に時間が掛かることを考えると、運用管理担当者の負担は相当なものであったが、BE 11dによって、個々のメール、フォルダ、メールボックスなど詳細なリカバリを短時間で行うことが可能となった。

きめ細かいリカバリを短時間で可能に

 こうした柔軟なリカバリには、アプリケーションのネイティブフォーマットと同じ形式でバックアップを作成することで、バックアップデータのランダムアクセスを可能にするGRT技術も大きく貢献している。

 リカバリ関連以外では、セキュリティと拡張性の部分で変化が見られる。セキュリティについては、128ビットまたは256ビットのAESによるバックアップデータの暗号化がサポートされた。

 拡張性については、対応プラットフォームが拡充された。EM64T/AMD64上のBackup Execメディアサーバに対するサポートを追加したほか、Linux/UNIX、Macintosh、NDMP、Active Directory、Oracle RAC、DB2などをサポートするエージェントが新たに用意された。Linux/UNIXのサポートについては、米国ではすでに前バージョンで提供していたが、これは日本では提供されていなかっただけに、BE 11dの発表によって、WindowsにてLinux/UNIXのバックアップを統合可能となった。なお、Itaniumについては従来と変わらずリモートエージェントを提供するにとどめている。

 同社が持つNetBackupとのすみ分けについては、基本的には大規模・異機種混合環境のバックアップがNetBackup、中堅・中小規模企業のWindowsを中心とした環境のバックアップがBE 11dとなる。ただし、BE 11dでLinux/UNIXのバックアップを可能にするリモートエージェントが提供されたことで、今後は大規模ユーザー向けと中堅・中小規模ユーザーといったすみ分けが行われると予想される。なお、個人ユーザーについては、Norton製品でカバーしていく意向だ。

 価格は、メディアサーバとなる「Backup Exec BE 11d for Windows Servers」が12万5000円。データベース/グループウェアエージェントとしては、MicrosoftのExchange、SQL、SharePoint Portal Serverのほか、DB2、Lotus Domino、Oracle(Windows/Linux)、Oracle RACなどが用意され、15万6400円(Oracle RACエージェントのみ50万2300円)。リモートエージェントとしては、Active DirectoryやLinux、UNIXエージェントなどが用意され、こちらは4万6400円から。アップグレード版なども用意される。受注開始は6日から。

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