ニュース
» 2006年11月06日 07時30分 公開

レポート:大きな成長の可能性を秘めたモバイルIM市場

米国の月刊誌によると、エンタープライズモバイルIM業界は向こう2年以内で急速に拡大する見通しだ。

[Patrick Hoffman,eWEEK]
eWEEK

 コンシューマー向けデスクトップ技術であるIM(インスタントメッセージング)は、ユビキタスと言えるほど広範に普及した。

 だが空港や地下鉄車内で、あるいは毎朝スターバックスで順番待ちの行列の中に見かけるBlackBerryやTreoユーザーはどうなのだろうか。彼らはカフェラッテを飲みながらIMを使っているのだろうか。

 The Radicati Groupから出ている月刊誌「The Messaging Technology Report」の最新号によると、ビジネスユーザーはモバイルIM技術に注目しているようだ。

 最新号の記事を担当したThe Radicati Groupのアナリスト、マット・アンダーソン氏はeWEEKの取材に対し、「この1〜2年の間に、IMはコンシューマー市場を超えて成長した」と語った。

 このレポートでは、モバイルIMの利用は「今日のIMの利用状況全体から見ると、その割合はまだ非常に小さい」としており、エンタープライズIM市場全体の6200万ユーザーに対して、エンタープライズモバイルIMを利用しているのは230万ユーザーであると推定している。しかしレポートによると、モバイルIM業界は向こう2年以内に拡大する見通しだとしている。

 「需要が拡大し、費用効果性の高いソリューションが市場に出回るのに伴い、これらの数字は今後2〜3年内に急増すると予想される」とアンダーソン氏はレポートに記している。

 またアンダーソン氏は、ベンダーが企業市場にフォーカスをシフトするのに伴い、モバイルIM技術を利用するビジネスユーザーの数が増えると考えている。

 「インスタントメッセージング業界は、ビジネス/エンタープライズユーザーに本格的にフォーカスし始めている」(アンダーソン氏)

 同レポートによると、IM市場に企業ユーザーが含まれるようになったのに伴い、IMセキュリティ製品やエンタープライズIMプログラムなど企業をターゲットとしたIMソリューションが相次いで登場している。

 今日、モバイルIMは、ビジネスユーザーがいつでもどこでも誰とでも接続するためのソリューションの一部となっている。モバイルIMを利用すれば、ビジネスユーザーは自分の存在を相手に知らせるだけでなく、自分の状態を知らせることもできる。

 「モバイルIMではプレゼンスが極めて重要だ。モバイルIMでは、ユーザーは連絡相手の状態、相手が今何をしているのか、応対可能なのかどうか、といったことを確認することができる。

 アンダーソン氏によると、これはモバイルIMを利用するビジネスユーザーにとって重要なメリットの1つだという。

 「モバイルIMはビジネスユーザーに、いつでもデスクトップが手元にあるような気持ちにさせてくれる。必要なものすべてが手元にあるので、ビジネスユーザーは常にオフィスにいるような感覚になる」とアンダーソン氏は話す。

 モバイルIMの弱点の1つは、セキュリティ問題である。アンダーソン氏は、モバイルIMは十分にセキュアであると考えているが、ユーザーはそのように感じていないようだ。

 「モバイルIMに対しては、セキュリティが不十分だという不名誉な認識がビジネスユーザーの間に存在するため、一部の企業がモバイルIMの導入をためらっている」とアンダーソン氏は指摘する。

 しかしモバイルIMサービスプロバイダー各社は、企業のセキュリティ問題の解決に努めており、こういった取り組みはいずれ企業に恩恵をもたらすだろう。

 「IMサービスを導入する企業の多くは、自社のシステム経由でメッセージを送受信することにより、何を管理できるか分かるようになるだろう」とアンダーソン氏は話す。

 「繰り返すようだが、ビジネスユーザーにとって最も重要なのは、いつでもデスクトップ環境が目の前にあるようにすることだ」(同氏)

 America Online、Yahoo、Jabber、Microsoftなどの企業はいずれも、モバイルIM分野に参入しており、アンダーソン氏によると、Microsoftは自社のモバイルIM機能で新たな展開を目指しているという。

 「Microsoftは、パズルのすべてのピースを組み合わせた統合的なコミュニケーションシステムを本格的に推進しようとしている。モバイルIMはMicrosoftにとって非常に重要なピースとなるだろう。同社は、ユーザーにとってモバイルIMが非常に重要になるようなシステムを推進する考えだ」とアンダーソン氏は話す。

 モバイルIMサービスが収益を生み出すのだろうか、という懸念を表明する技術アナリストもいる。例えば、AOLのサービスである「Mobile AIM」は無料でユーザーに提供されている。

 「モバイルプロバイダーやキャリアと契約する企業もあるだろう。その場合、キャリアが1カ月の使用量に応じて課金したり、テキストメッセージごとに課金したり、定額制を採用するなど、さまざまな形態が考えられる」とアンダーソン氏は説明する。

 アンダーソン氏によると、モバイルIMは企業分野で大ヒットになる可能性を秘めているという。

 「現時点では、ほとんどの企業がモバイルIMは必要ないと言うだろう。しかしモバイルIM業界はすごい可能性を秘めている。市場がさらに成熟化し、統合的なコミュニケーションシステムが発達する数年後には、モバイルIMは必ず市場で基盤を築くだろう」とアンダーソン氏は話す。

 アンダーソン氏によると、IMの価値は生産性向上とも強い関連性があり、コスト削減につながる可能性もあるという。

 「モバイルIMを利用すれば、従業員は仕事を処理するのにデスクに縛り付けられなくても済む。モバイルIMは、ユーザーがいつでもどこでも生産的になることを可能にするのだ」と同氏は話す。

 現時点では、モバイルIM業界は活況を呈していないが、モバイルIMのすべての能力が開花するのは時間の問題だとアンダーソン氏は考えている。

 「モバイルIM業界はまだブームを迎えていないが、大きな成長の可能性があるのは間違いない」(同氏)

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -