著名人ブログ争奪戦――広告媒体としてのオフィシャルブログ(2/3 ページ)

» 2006年11月22日 23時35分 公開
[森川拓男,ITmedia]

 ほとんどの場合、移転の理由が明らかにされることはない。従って、推測するしかないのだが、ここにはブログサービスの勧誘、営業活動が行われていると見てよいだろう。

 ブログサービスのアクセス数を増やすためにも、キラーコンテンツとなる著名人ブログの存在は大きい。そこで、まだブログをやっていない人や、すでに個人でやっている著名人などに声をかけ、オフィシャルブログとしているはずだ。しかし、それだとオフィシャルブログにした際に、どれだけのビュー数が見込めるのか、やってみなければ分からないことが多いのも事実。いわば賭けになる。この賭けが当たれば、ブログサービスにとって大きな財産になることは間違いない。そして、広告主にとっても広告効果が上がり、非常にありがたいことになる。

 ブログサービスが乱立する中で生き残るためにも、著名人を使ったオフィシャルブログはあったほうがいい。しかし、ブログというシステムにフィットした著名人は限られてしまうために、争奪戦は今後も激しくなっていくはずだ。もちろん、オフィシャルブログを読んでいる一般ユーザーにとっては、単に新しいブログが増えたり、引っ越したりするだけなのだが、その裏では新規ユーザー獲得やビュー数の増加のための仕掛けが続いていく。

 ブログサービスが目標を達成すれば、その起因となったオフィシャルブログにとってもメリットは大きいし、読者にとっても悪いことではない。そして、広告主にも恩恵を与え、結果、ブログサービスの運営が順調に進むわけだ。もちろん、ユーザーが増えればそれだけサーバ負荷などの新たな問題も発生するが、うまく回れば問題ないはずだ。

 その1つの核となるオフィシャルブログは、これからもタレントなどの著名人を起用していく方針は変わらないだろう。しかし、それだけではいつか頭打ちになる。そこでこれから必要となってくるのは、先にも述べたようにすでにいくつかのブログサービスは始めているが、自社サービスのブロガーから、著名人を見出して育てていくといった方向だ。

 それが成功するか否かは、各ブログサービスが、いかにブロガーにとっていい環境を作り出し、集客能力のあるブロガーに育てていくかにあるといっても過言ではない。そして、そのようなブロガーにとって魅力的なサービスにしていくかが、肝となっていくのではないだろうか。

広告媒体としてのオフィシャルブログ

 こうやって育てたオフィシャルブログは、単にブログサービスのユーザー獲得につながるだけではない。集客力のあるブログは、それ自体が広告媒体になる。ブログの記事一つ一つが、広告としての価値を持ってくるのだ。

 多くのブロガーがやっていることの一つに、アフィリエイトがある。簡単にできるお小遣い稼ぎということで流行しているが、これで儲けているのはごく一部のブロガーに過ぎない(関連記事)。それは、個々のブログが、それほどのアクセス数を持っていないということにも関連してくる。

 ブログを作れば世界中の人が見てくれる――それは間違っていないのだが、あくまでも「見ることができる」というだけだ。実際は、物凄い数のブログが毎日のように書かれているため、よほどタイミングなどが合わないと気付かないだろう。そこで、「ブログ検索」サービスも始まっているが、まだまだ利用者は多いとはいえないのが現状だ。

 それが、オフィシャルブログともなれば各ブログサービスが前面に出して告知するし、より多くの読者を見込むことができる。それが、タレントなどの著名人であればもちろんのこと、一般ブロガーから昇格したものであっても、その時点でかなりの読者がいるので、よく多くの集客を見込むことが可能となる。

 そこで、広告媒体としての意味合いもグッと強まってくるのだ。

 現在、ブロガーにリリースを配信してその内容をブログ記事に書いたブロガーに報酬を与えるというサービスが、複数存在している。これは、ブログのクチコミ広告価値を利用したものだが、読者が多ければ多いだけ、その効果も高まる。

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